#１６１ ページ15
『か、かかか業くん!!本当にごめんね重かったら遠慮なく言ってください』
「んー、全然。むしろ軽すぎてびっくりしてる」
『そう？』
「うん。もっと食べなよ」
『食べてるんだけどなぁ…』
あ…、私ここにいる時水しか口にしてないな？
だから…かな？
その瞬間、部屋の真ん中に置いていた首輪がﾊﾞｧﾝｯと爆発した。
「…首輪が爆破した」
「…ってことは、ここの映像は見たようだな」
「焦った死神は烏間先生の元へ戻ってくるはず。結果がわかるまではこのまま我慢だ」
「ぐぐ…、きっついな」
「それにしてもよくこんな手を考えましたねぇ、三村くん」
「…全く、ラジコン盗撮の主犯共が大活躍とはね…」
『ラジコン盗撮て、』
「ふふふ」
隣の有希子ちゃんが上品に笑う。…可愛いなぁ。
「カメラに衣装、まるで映像作品の段取りだったね」
「三村こーいうの好きだよね」
「で、殺せんせーは？」
「先生は普通に保護色になれるから、俺等の隙間を自然に埋めてる」
「…てことは、今素っ裸なんだよね」
「赤くなんなよ、バレるから」
「もうお嫁に行けない……」
『いや多分殺せんせーをお嫁さんにしてくれる男性はいない気が…』
「にゅや───ッ!?」
「それはそうだね〜」
「しくしくしく」
「殺せんせー、うるさいよ!!」
⋆┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈⋆
自分のシャツを脱ぎ捨て、ﾋﾞﾘｯと破いて包帯代わりにする烏間。倉橋や矢田に言われて、イリーナを瓦礫の中から救出したのだ。
「左腕は骨折の可能性があるな。他に痛む所はあるか？」
「……ぐ…ｯ」
イリーナは、鼻から血を出した。咄嗟に手で押えたため、烏間には吐血したかのように見えたのか焦っていた。
「おい!?血が…」
「………いや、あんたがいい体過ぎて興奮した」
「……脳に異常かと思ったが、お前の場合それが正常だな。
お前に嵌められてなお、生徒達はお前の身を案じていた。それを聞いてプロの枠にこだわっていた俺の方が小さく思えた、思いやりがかけていたすまない」
死神の殺気を察知した烏間がちらりと通路の奥を見た。
「…イリーナ、お前が育った世界とは違うかもしらん。だが俺と生徒がいる
「…………」
イリーナの脳裏に蘇ったのは、必死に叫ぶ友達の声。
＿＿＿『世界は自分で変えていくのよ!!私達の世界にはイリーナが必要なのよ!!』
「…A……」
潤む視界を唇を噛んで溢れるのを防いだ。
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作者名：ゆあ | 作成日時：2023年10月30日 18時
