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58.忠告 ページ9

『はあぁぁ…』

医局のデスクに伏せて大きく溜息を吐く。
それを聞いた他の医師は苦笑いしながら見てくる。

「工藤先生お疲れですね…」

「まぁ仕方ないよ、佐伯先生に連日捕まってんだし。」

『労うくらいなら代わってください。』

「「イヤ。」」

結局、ベルツリー急行であった出来事を洗いざらい吐かされた。
と言っても組織についての事は話せないので、殺人事件が起きて更に車内で爆発事故が起きた事だけ。

今回も素晴らしい推理クイズの話が聞けるんじゃないかと思っていた佐伯先生はもちろんそんな報告で満足するわけがなかった。

そこで、私が以前も事件に巻き込まれたという話に思いっきり食いついてきて、その事件の詳細を吐けと言うのだ。

「まぁでも今日乗り切れば工藤も休みだぞ!!」

『はいぃぃ…』

別に個人情報の流出がない範囲での体験談を話すのは別にいいが、その話を聞く佐伯先生の熱量に体力と気力が持っていかれるのだ。
そうした日々を続けて数日…明日の休みの為に、今日も佐伯先生に体力と気力を吸い取られるのだった。



『…で、何で来たの?』

「まぁ色々と。」

ヘトヘトの状態で米花町のアパートに帰れば、玄関にはニコニコと可愛らしい笑顔を浮かべた従甥がいた。

『…この笑顔も疲労感の中見れば天使ね。』

「うんとりあえずA姉さん休も?」

ガチで新一くんに心配されるのは初めてだわ。
とりあえず鍵を開けて新一くんを中に入れる。

「…ビール多くね?」

『飾るだけでほとんど飲んでないわ。日本じゃ手に入らないのもあるし。』

私の部屋の棚にはドイツで買って日本に持ち帰った多くのビールが並んでいる。
飲みたいけど、せっかくなら誰かと飲みたくてずっと飲めないでいる。

『で、今日はどうしたの?電話じゃ出来ない話をしに来たんでしょ?』

コートをハンガーにかけた後で、冷蔵庫からアイスコーヒーをコップに注いで新一くんに差し出して話を進める。

「…この前のベルツリー急行の時の事だけどよ。」

やっぱりその話か。
新一くんの隣に座り、私もコップに注いだココアを口にする。

「灰原は奴らには死んだと思わせる事ができたから良かったけど、問題はあの安室透。」

『…』

「あの男が黒の組織で重宝されている情報屋のバーボンだって分かってから、体調不良とか言う理由でポアロを休んでいる。多分もう現れることはないと思うけど、奴も変装してくるみてぇだからA姉さんも気を付けて。」

真っ直ぐな視線とぶつかる。

59.疑念の視線→←57.漆黒の特急



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YuasA(プロフ) - みんさん» コメントありがとうございます!次回も楽しんで貰えるよう頑張ります! (2022年1月19日 0時) (レス) id: 5892518060 (このIDを非表示/違反報告)
みん - 最高過ぎます!毎回楽しみです!!ありがとうございます!ありがとうございます!!! (2022年1月18日 23時) (レス) @page50 id: 0b35b5e05a (このIDを非表示/違反報告)
YuasA(プロフ) - あかねさん» ありがとうございます!もっとニヤニヤできる作品に出来るよう頑張ります! (2022年1月18日 22時) (レス) id: 5892518060 (このIDを非表示/違反報告)
あかね(プロフ) - 最高です!ニヤニヤが止まりません… (2022年1月18日 20時) (レス) @page49 id: bf2afdf343 (このIDを非表示/違反報告)
YuasA(プロフ) - ぱるむさん» ありがとうございます!次からも面白い作品になるよう頑張ります! (2022年1月8日 16時) (レス) id: 5892518060 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:YuasA | 作成日時:2022年1月6日 19時

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