55.漆黒の特急 ページ6
それから有希子さんは私を部屋に残して出て行った。
…きっと、自分から言い出したんだろうな。新一くんが組織とのいざこざに母親である彼女を巻き込むとは思えないし。
『でも、有希子さんの気持ちも分かるけどね…』
今回の事を事前に知っていたら、私だって仕事休んででも協力しただろうし。
まぁ、ある意味佐伯先生には感謝しないとね。
ガチャ
「っ!? Aさん…!!」
座って哀ちゃんを待ちながら考えていると、怯えた様子の哀ちゃんが入ってきた。
『あ、来た来た。安心して哀ちゃん、後は任せて。』
「え…?」
あれ?この反応……もしかして哀ちゃん本人も知らされてない感じ?
2人してぱちくりと目を合わせる。
『…とりあえず入って、落ち着こう。』
「え、えぇ…。」
未だちょっと息が上がっている哀ちゃんに未開封のミネラルウォーターを渡す。
「ありがとう」と受け取った彼女がそれを口にした後で、バタバタと足音を鳴らして新一くんが入ってきた。
「灰原!A姉さん!」
「ちょっと!一体何が起こって…」
「説明は後でする!とりあえず今はこれを!」
新一くんを説いた出そうとする哀ちゃんだが、新一くんに半ば無理矢理スマホを手渡される。
「お前に変装した怪盗キッドが黒ずくめの奴らと会ってるから、何て答えればいいのか教えてやってくれ!」
「はぁ!!?」
新一くん…いくらなんでも無茶ぶり過ぎない…?
これは私が怒らなくても後で哀ちゃんからど叱られるわね。
言い逃げ如く部屋を出て行った新一くんに、もはや怒る気もしなくなった。
いくら作戦の為とはいえ説明ほぼなしは怒って当たり前よ…。
『…うちの親戚がごめんね。』
「……いえ、ああ言う奴だって割り切らなきゃやってけないわ。」
本来は18歳って聞いてたけど、あまりに社会人的思考すぎて私も苦笑いしかでない。
諦めたようにスマホを繋ぐ哀ちゃんに心の中でも謝罪した。
ツッーー
通話が繋がったのか、ある人物の声が私にも漏れて聞こえてくる。
《ーー…バーボン、このコードネーム…聞き覚えありませんか?》
零くん、やっぱり…。
予想通りの人物に、思わず唇を噛み締める。
いくら潜入捜査とはいえ、犯罪者側の彼を見たくない。
そう思ってしまうのは、私の中で警察官を夢見る幼い彼の面影が濃く残っているから。
「えぇ、知ってるわよ。お姉ちゃんの恋人の諸星大とライバル関係だった組織の一員。お姉ちゃんの話だとお互い毛嫌いしてたらしいけど?」
…そうなんだ。
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YuasA(プロフ) - みんさん» コメントありがとうございます!次回も楽しんで貰えるよう頑張ります! (2022年1月19日 0時) (レス) id: 5892518060 (このIDを非表示/違反報告)
みん - 最高過ぎます!毎回楽しみです!!ありがとうございます!ありがとうございます!!! (2022年1月18日 23時) (レス) @page50 id: 0b35b5e05a (このIDを非表示/違反報告)
YuasA(プロフ) - あかねさん» ありがとうございます!もっとニヤニヤできる作品に出来るよう頑張ります! (2022年1月18日 22時) (レス) id: 5892518060 (このIDを非表示/違反報告)
あかね(プロフ) - 最高です!ニヤニヤが止まりません… (2022年1月18日 20時) (レス) @page49 id: bf2afdf343 (このIDを非表示/違反報告)
YuasA(プロフ) - ぱるむさん» ありがとうございます!次からも面白い作品になるよう頑張ります! (2022年1月8日 16時) (レス) id: 5892518060 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:YuasA | 作成日時:2022年1月6日 19時