54.漆黒の特急 ページ5
『…来てたなら、せめて私にも連絡入れて欲しかったなぁ。有希子さん。』
先程のメールで指定された7号車のB室に向かえば、そこにはそのメールの送り主である従兄妹の妻、工藤有希子がニコニコと笑顔を浮かべて待ち構えていた。
「あらっサプライズのつもりだったのよ!」
こんな心臓に悪いサプライズがあるか。
そんなツッコミも、きっと彼女にしたところでどこ吹く風。
『それで?今すぐこの部屋に来て哀ちゃんを保護して欲しいって…簡単にでいいから説明してくれません?』
ちょっと圧を掛けならが聞けば、冷や汗をかきながらも有希子さんは説明してくれた。
聞けば、新一くんたちを幼児化させた黒の組織が哀ちゃんを狙ってるから、その組織の奴らから哀ちゃんを守るために動いているらしい。
いや簡単に聞いても分からんかった。
『はぁ…とりあえず、わざわざ私を呼び出したってことは、有希子さんは別行動なんでしょ?』
「相変わらず察しがいいのね。そうよ、私はベルモットの足止め。銀幕のスターには日本の伝説的女優が相手した方がいいでしょ?」
『?…有希子さん、そのベルモットっていう組織の人知ってるの?』
有希子さんの口ぶりは明らかにそのベルモットの正体を知っているものだ。
銀幕のスターってことは、ベルモットも女優?
「あら、Aちゃんも聞いた事あるはずよ。シャロン・ヴィンヤード……娘のクリス・ヴィンヤードも彼女と同一人物で、組織の女幹部よ。」
『え…?』
クリスが…黒の組織の幹部…?
嫌な汗が背を伝う。
いやでも、今思えば不可解な点はいくつかあった。
初めて彼女と会った時、腕から血を流す彼女はその傷の原因を頑なに濁し続けていたし、微かに硝煙っぽい匂いもしていた。
それでも、ドイツにいた時に接してきた彼女はそんな犯罪を犯すような人には見えなかった。
けど……
「貴女は、こちら側に来ちゃダメよ。」
『……そう言う事だったのね。』
いつかポツリと呟いた彼女の言葉。
その時は意味がわからなかったけど、今思えば分かる。
「Aちゃん?」
『…分かった。哀ちゃんを保護すればいいのね。』
きっと、零くんが潜入しているのは黒の組織。
クリス……ベルモットと一緒に哀ちゃんを殺す目的でこの列車に乗っていたんだ。
けど、私はそんな事させない。
絶対に、零くんに人殺しなんかさせない。
585人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
YuasA(プロフ) - みんさん» コメントありがとうございます!次回も楽しんで貰えるよう頑張ります! (2022年1月19日 0時) (レス) id: 5892518060 (このIDを非表示/違反報告)
みん - 最高過ぎます!毎回楽しみです!!ありがとうございます!ありがとうございます!!! (2022年1月18日 23時) (レス) @page50 id: 0b35b5e05a (このIDを非表示/違反報告)
YuasA(プロフ) - あかねさん» ありがとうございます!もっとニヤニヤできる作品に出来るよう頑張ります! (2022年1月18日 22時) (レス) id: 5892518060 (このIDを非表示/違反報告)
あかね(プロフ) - 最高です!ニヤニヤが止まりません… (2022年1月18日 20時) (レス) @page49 id: bf2afdf343 (このIDを非表示/違反報告)
YuasA(プロフ) - ぱるむさん» ありがとうございます!次からも面白い作品になるよう頑張ります! (2022年1月8日 16時) (レス) id: 5892518060 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:YuasA | 作成日時:2022年1月6日 19時