工藤優作の従兄妹は美人医師。2

71.謎解きするバーボン ページ22

『ドライアイスの上に、紐のようなものを通しておいたラケットの乗せて、さらにその上に遺体の臀部を乗せてドアの外から引っ張ったんです。氷は溶けたら水が残ってしまいますしズボンも濡らしてしまうけど、ドライアイスなら消えてなくなります。』

「だがなぁドライアイスは簡単には運べねぇぞ、氷と違って直接触れねぇし。」

「石栗さんに運ばせたんですよ。昼食代わりに彼が部屋に持っていったアイスケーキの箱の中に、ドライアイスが入っていたでしょうから。」


その説明の後、安室さんは犯人のとったであろう行動をも話し出す。できればこのまま最後までやってほしい。


「恐らく犯人は、石栗さんを花瓶で撲殺した後、部屋を出てから先程Aさんが説明した方法で遺体を扉に寄せたんです。紐は回収出来るように結ばずにね。」

「そっか！だからあの部屋に行った時、足の指先がひんやりしてたんだ！ドライアイスが扉の傍にあったから！」


納得したように蘭ちゃんがそう言えば、横溝警部は梅島さんも同じようなことを言っていたことを思い出したようだ。

…もうそろそろ小五郎さんも気付いてよ。
流石にもう気付いてもおかしくないでしょ。

と言う私の心の声が伝わったのか、妙にキリッとした表情で小五郎さんが声を発した。


「なるほど、やっと犯人が分かったよ。」


…これでぶっ飛んだ推理しようもんなら流石に一発殴ってもいいと思う。


「まずドライアイスがあった事を裏付ける証言をした真知さんは容疑者から外していいでしょう。メガネのボウズが石栗さんの部屋にいた事を知っていた高梨さんも然り。子供が寝ている傍で殺人をやらかす奴はまずいませんからね。」


その言葉に、全員の視線が1点に集まる。
視線の先には、硬い表情を浮かべる彼女。


「となると残るは、その2人よりも先に石栗さんの部屋に行き、氷やドライアイスが溶ける時間を十分に稼げた…桃園琴音さん。貴女以外に犯人は考えられませんな。…違いますかな？」


そして琴音さんの犯行手順を話す小五郎さんだが、話す横で蘭ちゃんと園子ちゃんが「動いてると嘘くさい」などと話している。

……実の娘にまで言われてどうすんのよ小五郎さん…。
あと安室さんもそんな困惑したような顔しないで、珍しいのは分かるけど。

「じゃあ合鍵はどこにあるのよ!?」

「鍵かかってただろ!?石栗の部屋!!」

あ、その話し忘れてた。

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