何気ない日常は僕の宝物でした。*3*

＊ ページ22

宏光side






ニカが俺をシカトした。



あいつの言いたいことはすぐに分かった。

何年もあいつのこと見てきたからこそ、

痛いほど分かった。





この、玉のいない空気が嫌で嫌で仕方ないんだ。

それは、俺だって、他のみんなだって嫌だ。






それを、面白おかしく記事にされるのが

気に食わないし、悔しいんだよ。







なにも悪いことしてないのに、まるで

悪者に罰を与えるかのようなひどい扱いには

散々苦しみながら何年もこの仕事をやってきた。





でも、、、









「Kis-My-Ft2のメンバーであり、俳優としても

大活躍している玉森裕太さんが入院中の病院の

屋上から飛び降り、重症を負ったそうです。」




「詳しい情報が入り次第、またお伝えします。」









普段、そんなに取り立ててニュースになることの無い

俺たちなのに、今じゃどのチャンネルを見ても

玉のニュースばっかりで。







コメンテーターの言葉でさえムカついて

乱暴にテレビを消す。








決して玉が悪いわけじゃない。




悪いのは玉の病気、そしてそれを取り巻く環境。









玉がもし、芸能人じゃなかったら、

俺らと出会っていなければ、

こんなに苦しめなくて済んだのだろうか。









きっと、玉も同じことを考えたんだ。

俺が病気じゃなければ、

俺が最初からメンバーじゃなければ、

こんなにメンバーを苦しめずに済んだのに。









優しい玉だからこそ、

メンバー思いだからこそ。



それが、この病気の件に関しては逆効果だった。









今更、玉の気持ちに気づいたところで、

玉は目を覚まさない、聞こえないし。









どうしたら、また元のように笑えるんだろう。

どうしたら、、、









そう考えるうちに、久しぶりにベットで

眠りについていた。

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