第八十三刀 : 鍛刀、執着? ページ4
俺は一度、息を深く吐き捨てた。
「・・いいよ、わかった。
こんのすけさんが最後の一振りでいいというなら、俺は鍛刀しよう」
強く頷いた後、
霞は鍛刀部屋の奥にたてられた棚から刀帳を手に取る。
『審神者殿?
そこまで本格的になさってくださるのですか?』
真剣なまなざしで刀帳をめくっていく霞に対し、
こんのすけが走り寄り、見上げて聞いた。
その問いにこくり、一つ頷くと、
視線を一度こんのすけへと向けた。
「・・・練度がいるなら、太刀をつくるよ。
こんのすけさん、安心しててくれ。 必ず成功させるから」
そう微笑んで、霞は刀帳の、あるページで指先を止めた。
こんのすけが呼び出した鍛刀妖精たちに
資材の振り分けを記した木札を手渡す。
―――彼らから返された木札には
太刀の鍛刀時間である『3:00』が記されていた。
こんのすけは、宣言通りのそれに、茫然と流れを見つめていた。
――そして俺はあの日
左文字さんがこぼした言葉の意味を知る。
「僕は、燭台切光忠。
青銅の燭台だって切れるんだよ?」
―――うーん、やぱり格好つかないか。
「・・・・あ、は、はじ、」
―――神の執念は、恐ろしいものであると
「やあ、主。君が今日から僕の主なんだね。
ああ、主、そうか、主か・・!
よかった! 本当によかったよ!」
―――― ・・今後、鍛刀は、
あまりおすすめできませんね・・
「 ようやく君を『主』と呼べるんだね! 研修生君! 」
それは本当に
神の執着?
「ねえ、主!ここには江雪くんもいるんだろ?
彼にもまた会ってみたいな!
それに、君の本丸のみんなはどんな顔をするだろう?
ねぇ主、ねぇ君はやっと、
僕の主になってくれたんだよね! 」
主、主と恐ろしいほどに繰り返す、
―――元・山城国の『燭台切光忠』。
『ば、馬鹿な・・
まさか本当に、こんなことが・・・』
唖然とするこんのすけの声。
震える足先は一歩、後ろへとさがる。
――――「だから申したのです・・・
鍛刀は、おすすめできないと・・」
第八十四刀 : あきらめ→←第八十二刀 : たとえどんなに悲痛でも。
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遊藍 - 蒼さん» ありがとうございます。燭台切さんの執念、だなんて素敵ですね(笑)・・青江さんと左文字さんにも注目して頂いて・・こんな遊藍めの作品をご閲覧頂き、ありがとうございます! (2015年11月8日 0時) (レス) id: 1efa798365 (このIDを非表示/違反報告)
蒼(プロフ) - 今までヤンデレって好きじゃなかったんですよね。自分中心な上に重すぎるというか…しかしこの三日月は違和感ないです、笑。刀剣乱舞の画像で目が離せなくなる美貌を持つ彼が抱える闇に納得するくらいです。燭台切の執念、左文字と青江も良かったです。 (2015年11月5日 22時) (レス) id: 98f743b05f (このIDを非表示/違反報告)
遊藍 - 三条朔月さん» そうです、「つよぉい!」を強調する黒い兼定さん。カカカ殿は、一度の出陣で2〜3振ひろってくる、なんて、よくあります・・うう・・・鍛刀で出せる刀剣で、残っているのは、狐だけなのになぁ・・やっぱり第二部隊で、5−3いってもらえるように頑張りますか・・ね・・・ (2015年9月26日 0時) (レス) id: 1efa798365 (このIDを非表示/違反報告)
三条朔月(プロフ) - かっこよくて強いか (2015年9月24日 23時) (レス) id: 04413a2bd7 (このIDを非表示/違反報告)
遊藍 - 大変・・!(そしてその気持ちもわかる・・)遊藍の場合、五面は基本カカカ殿です(涙)たまにだぬぽんか和泉守さん・・ (2015年9月24日 22時) (レス) id: 1efa798365 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:遊藍 | 作成日時:2015年8月10日 1時