第九十七刀 ： 囲い囲われ ページ18
記憶にこびりついた、赤い、朱い、紅い湖。
吐きそうなほどに苦々しくて、溺れるように甘美なその味。
すべてすべて、食らい尽くせば二度と蘇らない。
すべてを奪い尽くせば、あの愚かな付喪神はきっと、
俺へと復讐にやってこよう。
そしてその時は愛するものと共に世界を超えて、
愛した者さえ傍に居れば、あの本丸がどうなってしまおうと、構わない。
ずっと、ずっと、傍にいよう。
俺がお主の側で、共に永久にお主を守ろう。
もう、終焉など気にせずにいられるように。
「・・はっはっは。さすがに数が多すぎたなぁ」
「・・いい加減、これはまずいですね」
『審神者殿を！ 審神者殿だけでも、ここから！』
「みんな！」
終焉なんてこないと思っていて、
終焉なんてもの、こないと信じた。
愛するお主の「終焉」など、迎えさせはしないと。
「・・・仕方がないなぁ」
どん、と突き放されたのは左文字だった。
「・・三日月宗近？」
「・・なに、簡単なことではないか。 なれば、主を隠せばよかろう」
「――――え？」
見開かれたのは自分と、左文字の目。
「・・主のためだ、さあ、永遠をはじめようぞ」
呼びかける刹那、視界はすべてがスライドした。
＊
それは決してありえないことだ。
青空に、鳥が飛び交い、桜が舞い、春の香りがつつむなど。
俺がいたのは燃え盛る本丸で、
季節なんて、あらわすのなら初夏が一番近かった。
「・・さ、もんじさん・・」
はっとして周囲を見渡す。
広間らしきその中心で、俺は一人きりで座っていた。
立ち上がり、慌てて外に出る。
「！ 左文字さん！」
広間を出てすぐの障子の裏側に彼はいた。
痛々しく、流れる血で着物も身体も真っ赤に染めて。
「・・・・っ！」
焦りをおさえ、左文字の身体を抱える。
「あるじ、」
「手入れしなきゃ・・！」
ぐっと足元を踏み込んだ時。
ふっと、背後に感じた"存在"。
「・・・主よ、どこへ行く？」
ぽたり、確実に音がした。
鼻先をかすめる、さびた鉄のかおり。
にぶい鉄分の気配と、独特の吐き気。
「・・・み、」
どうして、彼までもが、ここにいるのだろう。
「・・みか、づきさん、」
振り返り目にした彼の右手には彼自身の刃。
―――そしてその左手にあるのは、なに？
「しつこそうな男だったのでな。
ここへ来るまでに、潰しておいた」
「・・三日月さん？」
―――ねぇ、どうして
「のう、主よ。褒めてはくれまいか」
己の刃を、今 振りあげたの？
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遊藍 - 蒼さん» ありがとうございます。燭台切さんの執念、だなんて素敵ですね(笑)・・青江さんと左文字さんにも注目して頂いて・・こんな遊藍めの作品をご閲覧頂き、ありがとうございます！ (2015年11月8日 0時) (
レス) id: 1efa798365 (このIDを非表示/違反報告)
蒼(プロフ) - 今までヤンデレって好きじゃなかったんですよね。自分中心な上に重すぎるというか…しかしこの三日月は違和感ないです、笑。刀剣乱舞の画像で目が離せなくなる美貌を持つ彼が抱える闇に納得するくらいです。燭台切の執念、左文字と青江も良かったです。 (2015年11月5日 22時) (レス) id: 98f743b05f (このIDを非表示/違反報告)
遊藍 - 三条朔月さん» そうです、「つよぉい！」を強調する黒い兼定さん。カカカ殿は、一度の出陣で2〜3振ひろってくる、なんて、よくあります・・うう・・・鍛刀で出せる刀剣で、残っているのは、狐だけなのになぁ・・やっぱり第二部隊で、5−3いってもらえるように頑張りますか・・ね・・・ (2015年9月26日 0時) (レス) id: 1efa798365 (このIDを非表示/違反報告)
三条朔月(プロフ) - かっこよくて強いか (2015年9月24日 23時) (レス) id: 04413a2bd7 (このIDを非表示/違反報告)
遊藍 - 大変・・！(そしてその気持ちもわかる・・)遊藍の場合、五面は基本カカカ殿です(涙)たまにだぬぽんか和泉守さん・・ (2015年9月24日 22時) (レス) id: 1efa798365 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：遊藍 | 作成日時：2015年8月10日 1時
