第十六桂 ： 不可解 ページ19
机をはさみ、桜夜と左文字、向かいに小狐丸と青江、
という合コンのような体制で腰を下ろす。
まずはじめに口を開いたのは青江だった。
「・・そうだねぇ、まず、君はこの本丸について話を聞きたいのかい？
それとも、この本丸にいる刀剣たちについて、話を聞きたいのかな？」
一度首を振り、
そのどちらも、と言葉を返した。
「・・その前に、俺の立場を明かしておこう。
俺のことを小狐丸は知っているけれど、あなたは知らない。
そんなあなたにだけ、一方的に話をさせるのは気がひける。
俺は政府から配属された直属審神者ではあるのだけれど、」
懐から、首へと、
鎖につながれた小袋を取り出す。
「俺は研修に来た訳ではないよ。
俺と左文字さんの仕事は、
この本丸が乗っ取りなのか、
それともブラック本丸なのか、
そうでさえなくなんの問題もない本丸なのか、を確認すること」
「・・君は検非違使だったのかい？」
「・・刀剣の敵である検非違使ではなくて、
本来あるべき姿の直属検非違使、かな？
俺達の世界でいう『検非違使』は、
街を守るために動く"人間的な"存在だ」
そう、決して、刀剣男士や修正主義者さえも敵視する、あの検非違使ではない。
「人間の検非違使、なんてのは存在さえ認知されていない。
だけれど、俺達はだからこそ動きやすい。
こうして研修生としてもぐりこんでも、当の審神者は気づきもしないのだから」
「性格が歪んでいるんだねぇ・・嫌いではないよ」
青江の楽しげな微笑みと、小狐丸の輝く目。
――ここだけはまるであの世界とは異空間の様だった。
「その検非違使が・・というよりは政府が、
何故僕らの本丸を嗅ぎ付けたんだい？
自分で言うのはなんだけれど、
ここはなかなか、外見にはとてもいい本丸に見えてそうだけれど」
―――そとみには、
と青江が言った時点で、
小狐丸の話が事実であることを裏付けられた。
「・・小狐丸が、抜け出してきたんだ。
どうやって政府に辿り着いたのかは、わからないけれど・・」
「・・審神者さま、そのことなのですが・・」
申し訳なさそうに割り込む小狐丸に目線をやる。
「実は、この本丸には、あの案内狐が訪れないのです」
「なんだって？」
こんのすけが、担当した本丸を見に来ない、――否、
「担当するこんのすけがいないのか・・」
「・・その通りにございます」
眉を寄せる。
小狐丸は語った。
この本丸で、自分が鍛刀されてから、
一度も、案内狐の姿を見ていないと。
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遊藍 - うろちょろしていたら二桁台にランクインしていたことに気が付きました・・！いつもお世話になっております。みなさま、本当にありがとうございます！ (2015年12月7日 7時) (
レス) id: 1efa798365 (このIDを非表示/違反報告)
遊藍 - 闇夜さん» 待ち遠しく、だなんて・・！ありがとうございます。ご満足頂けるような作品に少しでも近づけるよう努力しますね！ありがとうございます！ (2015年11月21日 5時) (レス) id: 1efa798365 (このIDを非表示/違反報告)
闇夜(プロフ) - いつもこの作品の更新を待ちどうしく思っています！これからも頑張ってください！ (2015年11月21日 1時) (レス) id: 728ca8e5ec (このIDを非表示/違反報告)
遊藍 - 蒼さん» 嬉しいお言葉、ありがとうございます。これからも皆様に気に入っていただけますよう、最善を尽くします。こんな遊藍めの作品ですが、よろしければこれからも、どうぞよろしくお願いします。ありがとうございます！ (2015年10月29日 0時) (レス) id: 1efa798365 (このIDを非表示/違反報告)
蒼(プロフ) - 文章がとても読みやすいうえに、その場の雰囲気や表情も想像できるような作風にすごく惹き込まれました！三日月のラスボス感と主人公の立ち回りを楽しみにしています。 (2015年10月28日 9時) (レス) id: 93399226f0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：遊藍 | 作成日時：2015年9月25日 22時
