約束 Ⅶ【トラファルガー・ロー】【ONE PIECE】 (ページ38)

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314話　ローside ページ38

ローside

（ナナシ）の過去を初めて聞いた。

8歳で出会った12歳のお前が、既にそんな過去があったなど、思ったこともなかった。

フレバンスで見た（ナナシ）の子供に似合わぬ大人びた行動力、強さも、ただ旅人で培った経験だけではなかったと、今になって理解する。

俺が口を開く前に突然立ち上がる（ナナシ）はニコ屋が心配しているからと言って、兵隊屋の家に向かおうとする。

まだ体調も戻っていないくせに、無理してフラフラ歩くその姿は弱々しく、

また俺の目の前から消えてしまうのではと思った。

16年前、俺の小さな手は別れた（ナナシ）の裾を掴めなかった…

気づいたら（ナナシ）を追いかけ、離すまいと強く抱きしめた。右腕の激痛など気にしなかった。

互いの体温と心臓の鼓動で生きていると実感する。

　

　
　
　
　
　
　
　

ロー「（ナナシ）、好きだ」

　

　
　
ずっと想っていた事を告げた。
　
　
　
　
　
　
　

　

貴方『！……ロー、私は！…バケモノなの！』

俺の腕の中で抵抗して離れようとする（ナナシ）。
　
　

今まで（ナナシ）が蜃気楼の様に感じたのは気のせいではなかった。

　

自分に何かあれば、気づいたら側にいる。

　
　
　

自分が何かを成し遂げている時は、いつも遠く離れて見守っていた。

　

　
　

（ナナシ）は決して俺を、俺達を自分の心に入れようとしなかった。
　
　
　
　

それは自分が人間ではないと思っているからだ。

　
　
　
　

だから俺がハートの海賊団に誘っても入らなかったし、今も俺を拒絶しようとしている。
　

　
　
　
　

互いの心が近すぎないように距離をとっていた。
　
　
　

　

俺が珀鉛病になって、コラさんに病院に連れていかれたとき、周りから人間じゃない扱いを散々された。
　

それがどれほど辛い事なのか、身を持って知っている。

十分苦しんでいるお前をまたあんな苦痛な思いを俺がさせるか。

抵抗する（ナナシ）を止め、無理やり顔を合わせる。

　
　
　

ロー「（ナナシ）、逃げるな。俺はお前が何者であろうと愛せる。ここで誓う！
お前は自分の気持ちに気づいているハズだ。怖がる事なんて何一つねェ！俺達を、俺を拒絶するな！」
　
　
　

　

貴方『！！』