5.灰原哀 ページ6
翌日、簡単な荷物だけを持って訪れた阿笠邸。
ベルを鳴らせば新一くんがすぐに出てきてくれた。
『おはよ新一くん。』
挨拶を済ませて中に入れてもらえば、2年前とは変わっていない姿の阿笠博士と、茶髪の大人びた雰囲気の少女。
「おぉAくん！久しぶりじゃのぅ！」
『久しぶり博士。全然変わってないね。』
強いて言うなら前よりちょっとお腹が出てるくらいかな。
医者としてはメタボに注意したいところだが、きっと博士も自覚はしているだろう。
ひとまずソファに移動し、話を切り出す。
『さて、彼女が新一くんが言ってた協力者かな？』
「あぁ。俺と同じ毒薬を飲んで幼児化した、その毒薬を作った組織の元研究者だ。」
「…灰原哀です。」
『新一くんのお父さん、工藤優作の従兄妹……所謂従兄妹叔母にあたるかな。工藤Aよ。一応医者をしてるわ。まだ専攻医だけどね。』
「…工藤くんから話は聞いています。」
どこか怯えている様子の彼女。
そんな彼女に、私は優しく笑みを向けた。
『…私は、別に貴女を恨んでないわよ。』
「！」
大切な親戚をこんな姿にした毒薬はそれはもう憎いし、そんなもの存在しなければそもそもこんなことにならなかった。
でも…
『貴女は、組織の人に命令されてそれを作ったんでしょう？だとしたら貴女も被害者の1人よ。人を殺める薬を、実際に飲んでしまうほど追い詰められた貴女が、私には悪人だと思えない。』
「ッ…」
人の真意は目に見えない。
だからこそ、見極めなければいけない。
『貴女は悪人ではない。それが私が見極めた結論よ。だから私に対して負い目を感じる必要はないわ。本当に憎いのは、貴女に薬を作らせて多くの人を苦しめている組織の人間たち。』
「ッありがとう…!」
泣きそうな顔で言う彼女。
本当に腹が立つ。
人の命を何とも思わない組織の人間が、憎くて仕方ない。
思い出すのは、かつて私を守って亡くなった男の人の姿。
『ッ…教えてくれる？組織のこと。』
彼女を真っ直ぐ見つめ、言葉を待つ。
そしてゆっくりと組織について話し出した。
「あいつら…黒の組織は……」
それから、色んな情報を得た。
奴らのコードネームがお酒であること。
いつも黒を基調とした服装をしていること。
日本だけではなく、多くの国でも犯罪を犯していること。
「俺に毒薬を飲ませた奴…長髪のジンって奴には気を付けろ。あと、ジンとよく一緒にいるウォッカって奴も。」
『…わかった。』
お酒、ねぇ……。
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YuasA(プロフ) - †NANA†さん» ご指摘ありがとうございます。先程訂正いたしました！ (2022年1月7日 16時) (
レス) id: 5892518060 (このIDを非表示/違反報告)
†NANA†(プロフ) - ページ24で、「電話したもんだな」が「電話わしたもんだな」になっています。 (2022年1月7日 15時) (レス) @page24 id: 9dc612bbe9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：YuasA | 作成日時：2022年1月1日 23時
