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35.探偵たちの夜想曲 ページ36

それからいくつか樫塚さんに質問をしていた警部さんだったけど、まだ実の兄を亡くして間もない上に目の前で人が自 殺した事のショックも大きいと判断され、また後日身分証明と詳しい事情聴取を行うという事で彼女は帰宅することになった。

確かに、疑問点があるにしろ樫塚さんが心配だ。主に精神的な意味で。

「あの、家に帰るなら僕の車でお送りしましょうか?近くの駐車場に停めてありますし。もしかしたら、あの男の仲間が貴方の家の傍で待ち伏せしているかもしれませんしね。」

そう話す安室さんは人当たりのいい笑顔を浮かべている。
そんな彼を見て、警部さんと小五郎さんが話している。

「で、弟子ぃ!?…ったく、また君の周りに探偵が1人増えたわけか。」

また?安室さん以外にも他に探偵がいるのだろうか。
安室さんもその言葉を疑問に思ったらしく、警部さんに問い掛ける。

「君の他にもいるんだよ。最近毛利くんと一緒にちょろちょろ現場に顔を出す、若い女の探偵がな。」

……昔から思ってたけど、優作さんは小説家兼探偵で、新一くんも高校生探偵、小五郎さんももちろん探偵、そして安室さんも探偵……この町…というか私の周りに探偵多くない?

「へぇ、若い女性の探偵ですか!それは是非、会って見たいですね。」

『!?』

言葉の割に声のトーンが低くなったような気がして安室さんを横目で見たら、さっきまでのにこやかな表情からは考えられないほど怖い目をしていた。

『あむろ、さん…?』

「?どうかしましたか、工藤さん。」

『あ、いえ…』

不思議そうに私の顔を見る彼からは何も感じない。
いつも通りの優しい表情。
幻だったんじゃないかと疑うくらいの変わりように戸惑ってしまう。

殺気…とまではいかないけど、確実にいい感情などなかったあの瞳。
あの瞳を見た瞬間、心がざわめいた。

彼が零くんそっくりだから…?
優しかった彼が、すっかり変わってしまったように感じて恐怖を感じた…?

でも、彼は零くんじゃない。

グルグルと沈んでいく思考回路と共に気持ちも沈んでいく。
けれど、そんな私の思考を引っ張りあげたのは、この前も感じた優しい温もり。

ポンッ

「工藤さん」

『あ……』

「……行きましょう?皆さん先に出られてしまいましたよ。」

頭に置かれた彼の右手が優しく流れていく。
…右手を動かす時、僅かに指先に力が入って髪を梳く。


零くんと、全く同じ撫で方。


『は、い……』


安室さん、貴方は一体…誰なの……?

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YuasA(プロフ) - †NANA†さん» ご指摘ありがとうございます。先程訂正いたしました! (2022年1月7日 16時) (レス) id: 5892518060 (このIDを非表示/違反報告)
†NANA†(プロフ) - ページ24で、「電話したもんだな」が「電話わしたもんだな」になっています。 (2022年1月7日 15時) (レス) @page24 id: 9dc612bbe9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:YuasA | 作成日時:2022年1月1日 23時

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