工藤優作の従兄妹は美人医師。

34.探偵たちの夜想曲 ページ35

「なにっ…!?」

そこにはガムテープで口を塞がれて拘束された女性。
彼女の目の前には、両手に拳銃を握り口を大きく開けた状態で便座に座り息絶えている男性がいた。

『ッ…ダメだわ、即死している…。』

男性の即死を確認し、一先ず拘束されている女性を保護してトイレを出た。




あれからすぐに警察が到着し、以前の前夜祭の時にいた警部さんたちによる事情聴取が始まった。

事務所のソファで未だ涙を流している女性は樫塚圭さん。
彼女が言うには、事件前に安室さんが推理した通り、小五郎さんの助手と装った男性にもてなされてからスタンガンで気絶させられ、気が付いた時にはトイレに押し込められて質問責めにあっていたらしい。
その時に私たちが戻ってきて、バレそうになったから自ら命を絶った…という流れだ。

樫塚さんの身体からほとんど硝煙反応は出なかったようだから、あの男性は自 殺と断定してもいいだろうと警部さんたちは判断した。

でも、コインロッカーの場所を聞き出すためにトイレで拘束なんてする？
拳銃を持っていたなら、トイレなんかに行かなくても脅して移動してから尋問する事も出来たのに。

あの男性の目的が彼女のお兄さんの遺品である鍵だったのなら、樫塚さんと知り合いという可能性もあるけど、お兄さんの知り合いにはあまり会ったことがないらしく情報はゼロ。

「ちなみに、お兄さんは何で亡くなったんですか？」

樫塚さんの右側に立っていた安室さんが彼女にそう聞くが、樫塚さんは俯いていて反応しない。
再び安室さんがちょっと大きめの声で問いかければ問題なく受け答えをし、お兄さんの写真を携帯で見せながら死因について話していた。

…さっきまでは普通に受け答えしていたのに。
もしかして右耳だけ音響外傷が起こって聞こえなくなっている…？
いくら至近距離で銃声を聞いたと言っても、片側だけって言うのはおかしいわね…

『……』

彼女には、警察にも話していない別の事情がありそうね…。

ていうか日本に戻ってから私事件のエンカウント率高くない？
1ヶ月以内に2件って…しかも本来ならビールを楽しむ予定だったのに…。
もしかして新一くんが事件を呼び込んでいるんじゃ…

そんな事を思いながら横目で新一くんを見れば、彼はジッと樫塚さんを見つめている。
きっと彼も彼女に対して引っかかっている点があるのだろう。

警部さんたちから聞かされた男性の持ち物についても不可解な事はあるし、この事件、すぐに解決しなさそうね…。

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