22.ウェディングイブ ページ23
「伴場、お前ら言ってたよな。2人は誕生日も血液型も同じで、黙っていてもお互いの考えていることが分かるって。」
「あ、あぁ…でも、それだけで双子だとは…」
「お前は知らなかっただろうけど、お前と初音さんは赤子の頃同じホテル火災で助け出されて身元不明のまま、教会で育てられた2人だったんだよ。」
「なるほど。その火事で両親が焼死し、双子だと分からなかったんですね。」
「しかし、双子だとDNAが同じになるのかね?」
警部さんがその疑問を口にする。
最もな質問。
「一卵性双生児はそうらしいですけど、その場合は男同士か女同士の双子になるはずだったような…」
その言葉に対して私が説明しようとすれば、それよりも先に安室さんが説明する。
「稀にあるんですよ。2つに別れる前の受精卵の染色体が、XY…男性の場合、多胚化する際一方のY染色体が何らかの要因で欠落し、XYとXO……つまり、男性と女性の異性一卵性双生児として誕生する場合がね。」
…よく知っている。
都内の産科でも数件しか報告されない例だから、一般の人でそれを詳しく知っている人は少ないのに。
「おいおい…冗談だろ…俺と初音が双子だなんて……」
伴場さんは、まさか婚約者が双子の兄妹だと言う事に動揺が隠せていない。
『…初音さんは、見たところそこまで身長が高くない方ですよね?』
私がそう問えば、伴場さんは動揺しながらも答える。
「140の後半だって言ってたよ…背が低いの気にしてたし。」
『なら、双子である可能性は高いですね。異性一卵性双生児の女性は、ターナー症候群で低身長になりやすいんです。』
「で、でもよぉ…何で初音の付け爪に初音本人の皮膚が付いてたんだよ!」
『分かりませんか?伴場さん。安室さんから、自分たちが同じホテル火災で助け出されたと聞いた時、後は自分で調べると言っていたのなら、残るは自分たちが双子であるかどうか明確になるDNA鑑定だけ。』
私がそこまで言えば、新一くんがその先を説明する。
伴場さんの表情がどんどん歪んでいく。
「彼女の言う通りだ。おそらく初音さんはネイルサロンから戻り、車を降りたその時、鑑定を依頼していた業者からの電話でその結果を聞かされちまったんだよ。……お前と初音さんは結婚する事を許されない、血の繋がった双子だと言うことをな。」
「そ、そんな……っ!!」
明かされたその悲しすぎる真実に、伴場さんの目から涙が溢れる。
その姿を見ていられなくて、私は目を伏せる。
『ッ…』
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YuasA(プロフ) - †NANA†さん» ご指摘ありがとうございます。先程訂正いたしました! (2022年1月7日 16時) (レス) id: 5892518060 (このIDを非表示/違反報告)
†NANA†(プロフ) - ページ24で、「電話したもんだな」が「電話わしたもんだな」になっています。 (2022年1月7日 15時) (レス) @page24 id: 9dc612bbe9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:YuasA | 作成日時:2022年1月1日 23時