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『は……?お兄ちゃん、自分が何やったか分かってる?』
蔓日「分かってる、けど何も悪くねぇだろ」
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蔓日は、当時の当主を殺した。
既に酷く老化が進んでおり、このまま治療をし続けていても、3ヶ月以内には息絶えたのに。
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『ッ!なんで!?』
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蔓日「A、逃げるぞ」
『は、ぁ?』
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9歳の、小さな頭をフル回転した。
私は、蔓日のことが大事だった。
母と父こそ居たものの、鍛錬の日々。顔を合わせる回数は数え切れるものだった。家族という纏まりが薄いこの界隈で、常に一緒の兄とは 強い絆があった。
だが、目に映るのは死んだ当主とその護衛。
それが、どれだけの大罪なのかは 直ぐにわかった。
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足音が聞こえていると言うのに、わたしは何も出来なかった。
「御当主様、失礼致しま、ッ、!?
だ、誰か!!!!!!A様と蔓日さ、まが、……」
ただ、見えた姿の首を斬ることは、できた。
蔓日「……逃げるぞ、こんなとこ出よう」
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初めて人を殺した。
蔓日を守りたい気持ちのあまり、私は使用人を殺した。
『だっ、ダメ、誤解をとこ?』
自分でも何を言ってるか分からなかった。誤解?
誤解なんて、何も無い。全て、現実。
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「蔓日様、A様、一体何を!!?」
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ひとりが、震えながら刀をもって来た。
その者は、蔓日が殺った。
広まる前に、はやく逃げないと、
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ダメだ。
『母さんと、父さんを連れて行こう!!私たちだけが逃げても、2人が罪を償うことになる!』
蔓日「……だから、俺らは悪くないんだって」
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ピキっ、と邸の床に亀裂が入った。
終わった、と思った。
深く染った金色の目、蔓日は静かに言った。
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蔓日「もういい、最初からこうすれば良かった」
刹那、邸は切り刻まれ崩れ始めた。
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作者名:唯 | 作成日時:2022年3月18日 0時