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Noside
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蔓日「輪廻が、俺たちとあの頃に戻りたかったって」
Aの脳裏には、輪廻と過した小さな頃の思い出が蘇る。
蔓日「遺言だってよ、まぁ 輪廻は死んでないかもな」
『……』
蔓日「……ほとんど俺が聞けた最期の言葉みてぇなもんだけど」
ハッと笑う蔓日の顔に、Aは思わず幼き彼を重ねた。
支えている手に伝わってくる熱が段々と冷めるのを感じ、蔓日の死を悟った。瀕死状態に首を一突き、生き長らえる訳が無いのは、肌身を通して分かった。
『最強に、なるんじゃなかったの?』
それはかつて、彼が別の道を歩み出す時に吐いた言葉。
蔓日「……2人なら、最強だろ」
地面に倒れた蔓日はそう言う。
血に塗られ、疲労し切ったその姿を見て、誰がそれを認めるか。
それは、紛れも無い A だけだった。
蔓日「A、お前は、
10歳のとき 生贄として殺される予定だったんだ。」
天津Aは、直ぐにその意味を理解した。
そして溢れてくる、
驚愕、焦燥、苦しみ、恥、困惑、後悔、感謝
口は開くが、声帯が閉ざされたように声が出なかった。
蔓日「それを止めるには、俺が当主になるしか無かった
俺は次期当主で、そのまま過ごしててもなれた。
けど、当時の当主が死ぬのを待っていたら 間に合わなかった」
だから殺したんだ、と続く。
蔓日「それが、…Aが生意気なせいで、家まで潰さないといけねぇことになったよ。
話聞けって、言ったのに
けどな、責めるなよ 自分を
アレは俺がしたんだから、勘違いするな」
Aの呼吸が、少し荒くなる。
私は、なんて酷いことをしてしまったのか
自分を責めるのに、理由など要らなかった
蔓日「A、
俺は天津家のキマリを破った、そしてお前は七代としての責任を果たした
因果応報、悪くねぇよ」
そんな、そんな、
一番強く湧いたのは、後悔。
次に強く湧いたのは、____感謝だった。
蔓日が、いちばん欲しかった気持ちも、そう
『ありがとう、』
感謝、ただそれだけだった。
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作者名:唯 | 作成日時:2022年3月18日 0時