【降谷零】幼馴染みを護りたい。II

▽ 前編�� ページ5

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「 ……あ、そういえば景くん、最近女の子からラブレター貰ってたよね 」
「 ……そうなのか？ 」
「 ああ、貰ったけど……え、てかなんでAが知ってるんだ！？ 」
「 女子の間じゃ有名だよ？三組の綾瀬さんが景くんに告白したって。すごいよね、綾瀬さん男子人気結構高いらしいし 」
「 女子の情報網ほんと恐ろしいな……。まあ、けど俺、断ったんだよ 」
「 え、なんで？ 」



　少しバツが悪そうに頰を掻く景くんは、心底不思議そうにする私達の視線から逃れるように目を逸らすと、少し言いづらそうに言い淀む。

　視線を彷徨わせながら僅かに頰をほんのりと紅く染めると、景くんは一つ息を吐いてからゆっくりと口を開いた。




「 その……今はまだ、二人との時間を大切にしたかったから…… 」



　語尾につれて小さくなっていくものの、その言葉はしっかりと私達の耳に届いていた。

　予想外の言葉に驚き言葉を失った私達は、未だに頰を紅く染める景くんを凝視したままだ。

　そんな空気に耐え兼ねたのだろう。景くんはぱっと切り替えたように普段通りの笑みを浮かべると、少し冗談交じりに戯けて見せた。



「 ま、まあ、俺彼女とか柄じゃないしさ！それに中一だし、そんな急ぐこともないだろうし！ 」
「 ……景くん、これから三人でもっと沢山思い出作ろうね！ 」
「 そうだな。それで景の結婚式では友人スピーチを俺が語るよ 」
「 いや、待て待て。突然結婚式って話飛び過ぎじゃないか……？ 」



　明らかに誤魔化した景くんに私達が満面の笑顔で笑い掛ければ、彼は普段の調子を取り戻したようなツッコミをしながらも楽しそうに笑う。





　こういう友人と笑い合える時間というのは、大人になったらとても貴重なものになるだろう。

　そう考えるとこの時間がとても惜しく、それでいてかけがえのないもののように感じた。






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