事件・犯人、探偵 ページ5
'
国「其れで、誰を探せば良いんだ?」
少しの間の後、彼女は口を開いた。
『私が捜しているのは"赤い蝶"。彼女の詳細と居場所を調べて下さい。
……
そう云い残すと、机の上に紙切れを置いて立ち去った。
手に取ると、名前と連絡先が書かれてある。
太「
謎に包まれた黒い少女。
彼女は一体、何者なのだろうか。
──Aside──
私はある人物を捜していた。
彼女の呼び名は"赤い蝶"。
噂で聞いただけだから、横浜に居るのかさえも分からない。
其れどころか、本名も異能力も、彼女の詳細は噂でしか知らない。
この広い日本から………いや、世界から、一人の女性を見つけ出すのは難しいだろう。
それでも、無謀な事だと分かっていても、会いたい人。
私にとって彼女は、その位大きな存在だった。
でも"赤い蝶"を捜していると、警察が追って来た。
屹度、人を傷つけていたから。
どうして?
致命傷でもない、ただの擦り傷。
その程度で逮捕されなきゃならないの?
でも、気にすることはない。
警察なんかに捕まる私ではないもの。
彼女は今頃、如何しているんだろう。
"赤い蝶"の事をもっと知りたい。
私は今日もまた、蝶を捜す。
何時まで続くか分からない、無謀な人捜し。
「きゃあっ!?」
深く被ったフードを少し捲り、頬から血を流した女性を見つめる。
ああ、まただ。また外れた。
あの人は"赤い蝶"じゃない。
その場を立ち去ろうとすると、砂色の外套を着た男に肩を掴まれそうになった。後ろから近付かれてもそれ位は判る。
私はさっとその手を躱す。
また警察?でも、服が違う。私服警官かな。
今回の人は少し手強かった。
一度避けてもまた仕掛けてくる。それも絶妙に避け辛い所を。
普通の警官なら、一度で逃げられた。
其れにこの人、行動予測が並外れて巧い。
警官ではない、もっと他の仕事に向いていると思った。
そう、例えば今まで私が居たような……
いや、止めよう。
私はもうあの場所とは無関係なんだから。
「此処のクレープ、美味しいね。」
見覚えのある砂色の外套。彼は私の向かいの席に座った。
やっぱり。来ると思った。
来るとは思ったけど………
何でこの人もクレープ食べてんの?
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作者名:まくら枕 | 作成日時:2021年12月12日 9時