【文スト】元マフィアの捜し者！ (ページ38)

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此の世は、すべて。ページ38

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こんな高さに人が居る訳ない。
確認しようとしたが、離しかけた糸を握り直す事なんて出来ず私は縄で吊られた。

……筈だった。

けれど、いつまで経っても息苦しさは感じない。
それどころか、縄の当たる感覚すらしない。

『……浮い、てる？』

すると、後ろに居た誰かが首にかかっていた縄(ロープ)を外し、私を横向きに抱える。

中也さんだった。
彼は少し怒ったような表情で前を向いている。

そして私は、此の自'殺が未遂に終わってしまう事に気付いた。

『待って、私は！！』

中「待たねェ。」

あっという間に地上に降り立ち、川辺に立つ。
もう、地面に足を着けることは無いと思っていたのに。

その時、私の心が黒く染まっていった。

『……如何して？』

中「あ？」

『如何して、扶けたの？』

中「……俺はお前に死んで欲しくねえ。其れだけだ。」

そう云えば、彼は私の赤い瞳を見た事がない。
先刻は前を向いていたから目は合わなかった。

目を閉じて彼の方を向き、ゆっくりと目を開く。

『私は死にたい。貴方の願いなんて関係ない。』

中「！」

ポートマフィアの幹部といえど、殺気の籠った赤く鋭い眼差しを向けられれば一瞬はたじろぐのだろうか。
彼が見せた一瞬の隙に、私は帽子(フード)を被り直しスタスタと歩き出した。

中「……クソッ！！」

中「何で、気付かなかったンだ。」