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此の世は、すべて。 ページ37

翌朝、早朝。




『風強っ………』




私は、とある高層ビルの屋上に居た。

無論、ポートマフィアのビルではない。
そんな事をすれば、私の"やるべき事"をする前に消されてしまう。


手に持つのは、丸く縛られた(ロープ)




『綺麗だなぁ……』




夜が開け始め、空がうっすら明るみ始める。
横浜って、こんなに綺麗な街だったっけ。
生まれ育った横浜の街。私の全てが此処にあった。




『異能力───「茜蜘蛛」』




(ロープ)に異能の糸をしっかり結ぶ。
絶対に外れないように。
私の糸は粘着力を調整出来るから、只触れているだけでも外れないけれど、念には念を。




『自然の感じられる場所に高層ビルは似つかないな。
……ま、その方が助かるんだけどね。』




此のビルは川の岸にある。そして、向こう岸にも高層ビル。私は向かいのビルへ(ロープ)に括った糸を伸ばした。



糸の長さを調整して、糸で巻いた(ロープ)が中心に来るようにする。




参考程度に!はい、ドン!!(雰囲気壊した自覚あり)





これ、下からみたらビルの間に(ロープ)が浮いてる感じだよね。糸は見えにくいし。




『……邪魔しないでね、太宰さん。』




誰に云う訳でもなく口にする。



此処まで来れば察しは付くだろうか。
私が今、自'殺をしようとしていると。


異能者が死ねば異能も消える。
詰まり首吊りで息を絶った後、糸は消える。そしたら川にドボンで終了だ。
そうすれば、通りかかった一般人が直接死体を見る羽目にはならないだろう。



『いつから、こんな事気にするようになったのかな。』


一般人なんて、気にした事なかったのに。


しかも私は生命力が強い。俗に言う"吸血鬼"なのだから。
でも窒息死なら確実。

もし誰かが見かけても、見えない糸を探して切るなんて事は出来ない。其れが例え太宰さんであっても。



私の思う、一番確実な方法。



『よっ、と。』



糸に片手でぶら下がる。糸の粘着力を調整し乍ら片手ずつ雲梯の要領で縄の元まで進み、片方の手で自身の首に(ロープ)をかける。


そして目を閉じ、そっと両手の力を抜く。

直前。



『!』



───背後に、気配を感じた。

此の世は、すべて。→←私は、なに……? ー調査記録4ー



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作品ジャンル:アニメ
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作者名:まくら枕 | 作成日時:2021年12月12日 9時

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