些細な出逢い ページ16
翌日。
さてと、今日は一つ買い物をしようと思う。
何を買うかっていうと……
葡萄酒!!
あのバーで飲んだ葡萄酒が美味しくてね、家でも飲みたくなっちゃいました。
と、酒屋に来たは良いものの。
『………どれ?』
種類多過ぎない?
お酒ってこんなに多かったっけ?
参ったな。
『名前訊いとくんだった……』
??「大丈夫ですか?」
私が明らかに困ってますオーラを出していたからか、隣の男の人が話しかけて来てくれた。
ありがとう。
『えーと、一度バーで飲んだお葡萄酒が美味しくて買いに来たのですが、名前が判らなくて……』
莫迦ですよね、知ってます。
??「どんなお酒だったか覚えてます?」
え、若しかして相談に乗ってくれてる……?
優しいな、この人。
『他のものより赤っぽくて、こう、飲み応えのある感じの……』
うぅ、、
此処に来て、教養の要らない場所で生きてきた反動が来るとは……誰か語彙力を分けてくれ。
??「ああ、なら此れか?」
え、判るんですか?今の説明で?
??「試し飲み出来るみたいですから、飲んでみたら思い出すかも知れませんよ。」
『ご親切に有難うございます。』
専用のカップに少量注ぎ、一口飲んでみる。
あ、これ……
『此れです!有難う御座います!』
??「なら良かったです。」
ニッと笑う彼の顔は、
『お詳しいんですね、此んなに直ぐ見つかるなんて』
??「ただ好きなだけですよ。……あの、失礼かも知れないですけど、」
『何ですか?』
??「未成年……じゃないンですよね。」
『ふふっ、よく云われます。私は此れでも20歳ですよ。』
??「そうでしたか、なんかすみません。」
『いいえ、では。』
会計を済ませて家に帰る。
今日は良い買い物が出来たな。
其れもあの人のお陰だ。
……若しまた会う機会があればお礼がしたい。
名前、訊いておけば良かった。
私は昔から詰めが甘いらしい。葡萄酒も彼も名前を訊き忘れてしまった。
また会いたいな。
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作者名:まくら枕 | 作成日時:2021年12月12日 9時