ー 第三特異点 4 ー ページ5
青い空と、海。空に白い雲はなし。
勿論頭上に例の天環は見える。
が、見渡す限り視界に入るのは、
青、青、青である。たまに船体の銀と茶。
正確には青のうちの一つは、
空の色合いを反射したものに過ぎないのだが。
「・・・・」
「・・・・」
先に到着したマシュと立香も、
その景色に圧倒されているようだ。
「マスター」
「・・うん、まぁ、
確かに、海の上にレイシフトしてはいないね。
お陰で俺も空中浮遊は避けられた。
うん。でもね？」
「ドクター、何か弁解があればどうぞ」
マシュの言葉は多少の怒気を含んでいる。
『・・い、いやぁ、その。
�爛沺璽侫�ーの法則�瓠△世辰院�
失敗する可能性があるものは、
必ずその失敗の方向へと誘導される、
みたいな？』
マシュは無言のままである。
『それにさ、ね？
考えてもみたらさ、
無人島に転移ロビンソンして、
助けがくるのは28年後、
なんて可能性もあったじゃないか』
ロマ二は必死に言葉を紡ぐ。
『すぐに使える�狢��瓩�ある、というのは、
むしろメリットじゃないかな？ね？』
「ーーほう。
そのような可能性に法則が傾いた場合、
貴方の人生はむしろ28秒で終わるのでしょうね。
我らがシヴァ神の鏃(やじり)によって。 」
「既に全承認です。マスター。いつでも撃てます。カルデアへ転移しましょう」
『あー！！
ごめんよ冬真君！僕が悪かった！！
だからアーチャー君にパーシュパタさせないでくれ！！』
命の危機を察したロマ二は、
そう慌てて謝罪した。
ーー「・・よくわからねぇが・・」
そこに割り込む野太い声は、
間を割って高く変化した。
「野郎ども！やっちまえ！」
＊
怒りに満ちた異界人マスターは怖い。
目の前で正座させられた男性たちを前に、
マシュと立香が出した結論はこうだった。
「・・済みませんでした・・」
先程までの勢いをどの海へ沈めたのか、
海賊と思しき彼らはしょんなりと頭を下げた。
秋はあくまでも静かに問いかける。
「どなたか、この海がどこで、
どういう状況にあるのか、
説明出来る方はいらっしゃいますか？」
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作者名：遊藍 | 作成日時：2019年5月4日 21時
