ー 第三特異点 22 ー ページ23
「いいわ、結界を解除してちょうだい」
肩乗り女神、エウリュアレに促され、
アステリオスはこくんと頷いた。
「わかっ、た・・・」
直後、アステリオスの巨声が、海上に轟いた。
＊
「あ、姉御！アニキ！
って、この二人も連れていくんすか！？」
アステリオスの巨体に慄いた乗組員が声を震わせる。
「歴戦の海賊だろ、アンタたち！
そうだよ！その二人は客人だよ！」
「男性の方はアステリオスさん、
女性の方はエウリュアレさんです。
我々同様、
�猗爐薛瓩叛錣Δ海箸僚侏茲訛減澆任垢茵�
相変わらずの微笑みをたたえながら、
秋は手早く二人の説明をこなした。
全員が船上にいることを確認し、
ドレイクが出航の合図を出した。
ーー空は広い。
波は低めで、進みやすい海上だ。
「いい日和だねぇ」
のんびりと、ドレイクが進行方向に向かい呟いた。
「マスター、」
「！」
アルジュナがさっと体制を低め耳打ちする。
同時に、乗組員がドレイクへと駆け寄る。
「どうした？」
「右舷に見覚えのねぇ海賊船を発見！」
手早く片付けろ、と、ドレイクが叫んだ。
「風向きが変わった。
今夜あたり、嵐かもしれないね」
「厄介ですね。早々にカタをつけます」
「ああ、そうしとくれ！」
・
ーー敵対者は片付いたものの、
秋はひとつ気にかかることがあった。
ーーそう。
彼女は何故追われていたのか、だ。
「・・・まぁ、いいわ。教えてあげる。
ほら、私、可愛いじゃない」
唐突な言葉に、
マシュが、立香が、うん？と瞬く。
「・・えぇ。
いつかどこかで見たような愛らしさですね」
とある女神を思い出しながら答えた。
「そう、私、可愛いし可憐なの。
だからいつでも狙われるのよ。
でもね、今回は、
特別タチの悪い男に狙われたみたい」
そこで彼女はドレイクを見た。
「ドレイクと同じ海賊だったわ」
ただ、と補足すべく続けられる。
「 �牾ぢ韻離機璽凜．鵐鉢瓩冒世錣譴燭里茵�
真名は知らないけれど、と付け足された。
と、その時だ。
アルジュナが、アステリオスが、
進行方向、前方の異変に気がついた。
そして、乗組員が声を張りドレイクを呼んだ。
「あれだ！あの旗だ！
あの海賊船、
例の旗と同じ海賊旗を掲げています！」
「ーーほう」
ドレイクよりも早く、秋が進み出る。
「お早いおでましですね」
「ん？」
その秋の後ろで、ドレイクが眉を寄せた。
「どうかされましたか？」
「いや、あの船、どっかで見たような・・・」
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作者名：遊藍 | 作成日時：2019年5月4日 21時
