ー 第三特異点 6 ー ページ7
*
「フォウ、フォーウ?」
その道中の森の中、
もっふりと、服の中からフォウが現れた。
「おや、フォウ君。船酔は大丈夫かい?」
「フォウ!」
「それはよかった」
フォウの姿に気付いた海賊が瞬いた。
「あらやだ 何この可愛い生き物!
そしてとても美味しそう」
「フォウ!?」
海賊の不穏な言葉に、
フォウは秋の服へとんぼ返り。
「食べたら指先からゆっくりと五体をすり潰した上で貴方の血筋を末代まで祟りますよ」
『指先からゆっくりと五体をすり潰す!?』
「ヘイ 済みません!!」
その絡みのなか、
マシュが説明口調へと変わる。
「フランシス・ドレイク・・・
世界を開拓した、偉大なる英雄の一人です。
時代的に大航海時代の真っ只中ですから、
もし本物なら生前の人物でしょう」
ーー人類史で、最もはやく、
生きたまま、世界一周を成し遂げた航海者、
だそうだ。
「その活躍により、
イギリスは莫大な富を得て、
当時、世界の海を制覇していたスペインを撃破します」
ーー決して沈まない太陽、スペイン。
そう語られていたかの国から、
かの人々から恐れられた
『 海の悪魔(エル・ドラゴ) 』ーー
「太陽を沈めた英雄かーー・・
つまり、その悪魔なくしては、
後の大英帝国の繁栄はなかった、ということか」
『ならば今回のレフの狙いはその悪魔ーー
ドレイク船長、ということだろうね』
秋の言葉にロマ二は察したようだった。
「ええ。つまりこの特異点ーー
この時代のキーパーソンは、
そのフランシス・ドレイク船長、でしょうね」
そこで海賊が足をとめた。
「姐御、姐御!客人です!」
話がしたいと言っています、
と、どうやら目的地に到着したようだった。
「客人〜?海賊かい?」
森の奥から、
ドレイクと思しき人物の声が届く。
海賊の男は首を振った。
「多分違いやす!
どっちかってーと、
オレらより上品で、けど、
オレらより幾分か武闘派です!!」
「は〜?知らないね。
海賊じゃないなら役人か軍人?
はっきりしないねぇ。
まぁいい、連れてきな!」
その言葉に従い、
秋たちはかの船長とまみえた。
「・・・・・・・
・・・・・こりゃまた、
随分とキテレツなのを連れてきたねぇ、ボンベ・・・」
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作者名:遊藍 | 作成日時:2019年5月4日 21時