ー 第三特異点 25 ー ページ26
ーー血斧王。
その目的はこちらの聖杯か女神だろうが、
しかし。やはり。
『どうして血斧王がいるんだ!
たおしたはずなのに!』
「・・いいえ、ロマ二さん。
はっきりとした消滅は確認できなかったはずです。
つまり、」
『まさか、あの霊基変化は、転移!?
あの黒髭がマスターなのか!?』
「トドメをさします。アーチャー!」
「はい、マスター」
アーチャー、と呼びかけた時、
エウリュアレも反応していたように見える。
彼女のクラスもアーチャーのようだ。
いや、場にそぐわない考えはとばしておこうか。
*
血斧王が膝をつく。
憎々しげにこちらを見上げた。
『今度こそ完全消滅を確認した!
エイリーク血斧王は討伐完了だ!』
「了解です」
しかし、マシュたちの様子がおかしい。
「てっとり早くマスターを始末すれば、
それで済むかと思ったんだがねぇ・・・」
立香を背に、マシュが苦戦している。
対する男性のサーヴァントは、
掲げた槍を振るう下準備に入っている。
(ーー藤丸さんが狙われているのか!
こちらには海賊のみなさんが固まっているから・・)
アルジュナを見る。
恐らく彼は察するだろう。
次に目線を走らせたのは、
船体の端と、船首の足元。
「てっとり早く!!」
目に入った酒樽を担ぎあげた。
「は?オイオイ!」
一回転の後、
酒樽を投げつけられた男は、驚愕に瞬いた。
「オタクただのマスターじゃないのかよ!」
飛ばされた酒樽は彼の槍に弾かれる。
が、それでよかった。
「ええ!
ただの『ちょっと異端なマスター』ですがなにか!!」
秋の声と同時に、
その背後からアルジュナの矢が突き抜ける。
「マスターの危険ガン無視かよ!」
「彼の矢は外れませんから」
鏃(やじり)は言葉通り秋の脇をすり抜け、
目的へと一直線に向かっていった。
ランサーらしき男はそれを交わしながら、
しかし体制を立て直す代わりに、
彼の注意はマシュたちから逸れた。
そして。
「あ、大綱がきられた」
ーー船体同士を繋げる綱からも。
真横の船体から幼い声。
ざっくりと切られた綱は虚しく水中へ。
「・・まさか、」
幼い声は再び降ってくる。
「・・・はじめからソレが目的か」
「オジさんが避けることまで計算してたっての?
頭イカれてない?
『ちょっと異端なマスター』さんよ」
残りの綱にドレイクの銃弾が届き、
船同士は見事に切り離された。
「けど、ま、」
刹那、船体が揺れる。
「あのコ、『海賊』ではないみたいだね」
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作者名:遊藍 | 作成日時:2019年5月4日 21時