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ー 第三特異点 25 ー ページ26

ーー血斧王。

その目的はこちらの聖杯か女神だろうが、
しかし。やはり。

『どうして血斧王がいるんだ!
たおしたはずなのに!』
「・・いいえ、ロマ二さん。
はっきりとした消滅は確認できなかったはずです。
つまり、」
『まさか、あの霊基変化は、転移!?
あの黒髭がマスターなのか!?』
「トドメをさします。アーチャー!」
「はい、マスター」

アーチャー、と呼びかけた時、
エウリュアレも反応していたように見える。
彼女のクラスもアーチャーのようだ。

いや、場にそぐわない考えはとばしておこうか。



血斧王が膝をつく。
憎々しげにこちらを見上げた。

『今度こそ完全消滅を確認した!
エイリーク血斧王は討伐完了だ!』
「了解です」

しかし、マシュたちの様子がおかしい。

「てっとり早くマスターを始末すれば、
それで済むかと思ったんだがねぇ・・・」

立香を背に、マシュが苦戦している。

対する男性のサーヴァントは、
掲げた槍を振るう下準備に入っている。

(ーー藤丸さんが狙われているのか!
こちらには海賊のみなさんが固まっているから・・)

アルジュナを見る。
恐らく彼は察するだろう。

次に目線を走らせたのは、
船体の端と、船首の足元。

「てっとり早く!!」

目に入った酒樽を担ぎあげた。

「は?オイオイ!」

一回転の後、
酒樽を投げつけられた男は、驚愕に瞬いた。

「オタクただのマスターじゃないのかよ!」

飛ばされた酒樽は彼の槍に弾かれる。
が、それでよかった。

「ええ!
ただの『ちょっと異端なマスター』ですがなにか!!」

秋の声と同時に、
その背後からアルジュナの矢が突き抜ける。

「マスターの危険ガン無視かよ!」
「彼の矢は外れませんから」

鏃(やじり)は言葉通り秋の脇をすり抜け、
目的へと一直線に向かっていった。

ランサーらしき男はそれを交わしながら、
しかし体制を立て直す代わりに、
彼の注意はマシュたちから逸れた。

そして。

「あ、大綱がきられた」

ーー船体同士を繋げる綱からも。

真横の船体から幼い声。
ざっくりと切られた綱は虚しく水中へ。

「・・まさか、」

幼い声は再び降ってくる。

「・・・はじめからソレが目的か」
「オジさんが避けることまで計算してたっての?
頭イカれてない?
『ちょっと異端なマスター』さんよ」

残りの綱にドレイクの銃弾が届き、
船同士は見事に切り離された。

「けど、ま、」

刹那、船体が揺れる。

「あのコ、『海賊』ではないみたいだね」

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作者名:遊藍 | 作成日時:2019年5月4日 21時

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