105話目 ページ5
迅side
本部を歩いていると突然見えた
それはAちゃんが狙われる未来
何故突然?と思いつつ前を見れば
出水と笑いながら歩くAちゃんの姿
これは本人に言った方がいいのか…と悩んだが
俺の質問に嬉しそうに答えるAちゃんと
そんな彼女を優しく見守る出水を見て言うべきだと思い
彼女を人気のない屋上へと連れていく
A「わぁ…ここ凄いですね!街全体が見える」
迅「ははっ、出水と同じ反応するね」
A「えっ、本当ですか?」
迅「うん、全く同じ(笑)」
A「なんか照れるな...///」
少し恥ずかしそうに笑うAちゃんは
普段とは違い年相応の普通の少女
そんな彼女の顔を見て一瞬躊躇う
そんな俺を見て彼女は少し悲しそうに笑う
A「何か、見えたんですよね?((ニコ」
迅「!!…分かっちゃう?」
A「多分そうかなぁって。教えてくれませんか?」
迅「っ…近々、大規模侵攻がある。そこまでは知ってるよね?」
A「はい、知ってます。千佳ちゃんが狙われるやつですよね?」
迅「そう。…本当ならね」
A「……私も、ですか…((ニコ」
迅「!!」
そう言う彼女は酷く悲しくて、優しく笑う
彼女の言ってる事は当たってて何も言えなくなる
A「…ごめんなさい…私の分の未来まで背負わせて…辛い思いさせて…」
迅「俺は…平気だよ。それに辛いなんて」
A「嘘…心は泣いてますよね…((ニコ」
迅「っ…!」
何処か確信を突くような言葉に詰まる
すると彼女は俺に歩み寄って精一杯背伸びをして
俺を抱きしめる。出水に怒られるよとか思ったけど
これが彼女の優しさだから出水は好きになったんだな
とか呑気に思う
A「迅さん…泣いてください。今は私しか居ません。沢山の未来を見て、背負って、自分を攻める迅さんを私は知ってます…全部とは言えないけど、少しくらい、少年に戻ってもいいんじゃないですか…?」
迅「!!…っ…俺は…」
彼女の言葉に目頭が熱くなって鼻がツンとする
必死に我慢しようとするけど
酷く優しい彼女の言葉と体温はそれを許してくれなくて
ボロボロと目から涙が零れ落ちる
A「頑張りましたね…」
迅「っ…う…ぁ…」
カッコ悪いななんて思いながら
華奢な彼女の体を抱きしめ返す
出水…ごめん、少しだけだから…許してくれ…
心の中で出水に謝りながら
俺は彼女に抱きついて声を出して泣いた
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作者名:Yu-grena | 作成日時:2021年3月25日 14時