episode47 ページ48
慎太郎side
『Aさん、着いたよ』
A「ん〜…」
『Aさーん？起きてー』
A「あと5分」
みんな車を降りたけどAさんと手を繋いでいる俺はAさんが起きないと降りられない。
Aさんの手の力は抜けてるから簡単に離すことはできるけどAさん一人を車に残すのは嫌だし。まだ手を繋いでたい。
車から荷物を下ろしている高地に声をかけた。
『高地ーAさんがあと5分だって』
優「じゃあ鍵渡しとくからAが起きたらエンジン切って」
『了解』
高地は鍵を俺に渡すとドアを閉めて行った。
車内には俺とAさんだけ。
Aさんの顔にかかった髪を退かすと起きている時より幼い顔が見えて思わず顔を近づけた。
あと数cmで唇が触れる距離まで近づいた時
A「し、たろ、くん…？」
『…起きた？』
A「…5分経った？」
『まだだよ』
A「…まだ寝る」
目が開いていないAさんはそう答えて再び俺の肩で寝始める。
Aさんに呼ばれなかったら俺は…
俺達は付き合ってない。
Aさんの気持ちを聞いてもない。
それなのにどうしようもなく彼女が愛しい。
もっと近づきたい。
抱きしめたい衝動を抑えAさんの頭を撫でる。
俺、こんなに欲張りだったかな。
『Aさん、5分経ったよ？』
A「んー」
『おはよ』
A「おはよ。ごめんね肩借りちゃって」
『いーえ、みんなの所行こうか』
A「うん」
『手、繋いだまま行っちゃう？笑』
A「今はまだやだ」
そう言うと手を離されてしまった。
ずっと繋がれていたからちょっと寂しいな笑
ん？今は…？
今じゃなければ良いってこと？
A「行こ！ごめんね付き合わせちゃって」
『Aさん！』
A「ん？」
『寝顔可愛かったよ笑』
A「…早く行くよ」
『照れた？照れた？』
A「照れてない！」
本当は“好き”って言いたかったけどそれは後に取っておくことにした。
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作者名：きゅーり | 作成日時：2023年8月12日 9時
