【MHA】アンタがいなきゃ死ねたのに。【エリ】 (ページ6)

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10数年の我慢だったページ6

気づいたら、元いた地面とはかけ離れた空の上にいた。もうあの人は死ぬ。そう考えると身体中で鳥肌が止まらなくて、呼吸が荒くなる。先程まで死を望んでいたはずなのに、人間というものは怖いもんで状況が変われば矛盾する。そしてそれを何かしらの言い訳を添えて正当化しようとする。恐ろしい。

ヒーローが私だけには当てないようにと器用に交わしながらあの人に向けてパンチを繰り出す。いやだ、やめて、殺さないで。これはあとから知ったことだが、ヒーローというものはいくら敵だろうと殺してはいけない、と言われているらしい。

あの人が気絶し、ヒーローはエリを抱えたまま地上へと降りた。いや、厳密には落ちたが正しくて、エリの個性を利用して着地していた。私はあの人の力が完全に抜け切った腕から徐々に離されていき、遂には体が完全に宙ぶらりんになり、地面との距離が近づいた。個性を使えば着地できることはわかっていたが、ここで使わなければ死ねるかもしれないという余計な気持ちが邪魔をして、先程の死ぬかもしれないという恐怖と迷いが連なって息苦しくなった。

あ、これダメだ。

？「、、、危ない、！」

地面に体をうちつけるはずだった。なのに、恐る恐る目を開ければ人の体温と白いマントに包まれていた。安心したはずなのに、酸素と二酸化炭素の交換がさらに激しくなっていき、肩を上下させるものも気づいたら意識を失っていた。

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天喰side

もう戦う気力も体力もない俺は、血まみれになって意識を何とか保っている状態のミリオを抱えたまま、緑谷くんの戦っている姿を見ていた。

意識を手放したであろう治崎の腕の中から、先程廊下に座っていた女の子がこっちに向かって落ちてくるのが分かった。この場にいる人はもう誰も動ける状態ではなかった。イレイザーはえりちゃんの方で手一杯で、ただただ落ちてくるのを眺めているだけだった。

今回の目標はエリちゃんだけのはずだった。この子はこうやっていつも我慢してきたのかな、と考えると焦りと同情で気が動転し、気づけば落ちてくる少女を個性も使わずに体全体で受け止めていた。

俺は過呼吸を起こして苦しそうにしている女の子をどうしたらいいか分からず、ただ頭を抱えるようにして抱きしめていた。