【MHA】アンタがいなきゃ死ねたのに。【エリ】 (ページ17)

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嬉々として共存ページ17

通形「ああ！夏弥ちゃんどこ行ってたの！？途中でいなくなっちゃったよねー！！」

「うるさかったし」

通形「そっかあ、でもね、エリちゃんは今日すっごく楽しかったんだって！」

空が赤く染まって、終了のアナウンスが聞こえた頃、通形と合流した。どこいってたの！！って大袈裟に身振り手振りする通形がバカみたいで、変だよって言えばそんなに！？って言われる。

エリ「か、夏弥ちゃん！あのね、前に読んでくれた絵本みたいにびゅうっ！て風が吹いてね、うわー！ってなったの、それでね、」

「え、」

緑谷「エリちゃん、、！」

通形「あの後からすっごくお喋りさんになったんだよね！」

治崎「夏弥、はやくエリを泣き止ませろ」

「、、、絵本、絵本が欲しい。」

ちょうど私がエリぐらいの頃。なかなか泣き止まないエリをおもちゃを使って宥めていたものの、それも融通が効かなくなってきて。昔、拾ってくれた親父さんに読んでもらった覚えがあって、あの人の部下に買って貰った。それが北風と太陽だった。

はじめて、はじめて名前を呼んで貰えた。読んでるこっちが飽きてくるほど何回も、何回も読んだ絵本。全然泣き止まなくて、最後まで読んだことはほとんどなかった。それでも、覚えてくれていたことが感慨深くて、満面の笑みでまた両手を広げるエリがぼやけて見えた。

通形「ほんとに泣き虫なんだよねー夏弥ちゃんは。」

「感慨深いだけ、」

通形「それはねえ、きっと嬉しいって言うんだよ。」

エリ「これ、あげる！さっきね、デクさんが作って持ってきてくれたの。りんご飴って言って、りんごをさらに甘くしちゃったんだよ！」

後ろに立っていた学生らしき人から飴を受け取ったエリは、自分の方が詳しい、みたいな感じで説明してきた。今までエリに何かを教えるのは私だけだったのにってもやもやするけど、私の方に飴を両手で差し出したエリを見てそんなことはどうでも良くなる。

「ありがとう。」

もう、死んでもいい。

それでも、お前がどうしようもなく馬鹿でドジで、それでいてひとりじゃ何にも出来ないくらいに子供だから。

ちゃんとした大人になれない位阿呆だからだから。

まだ、死ねないんだよなあ

【終】