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第六夜 ページ8

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耳に近づく青年の唇。

漏れる吐息が艶のある色っぽいもので、私はなんだかイケナイコトをされている気分である。



ああ、やっぱ私死ぬのか、殺されるのか。

でもそれより、あああこの美形さっきから距離が近すぎる。








「……湯婆婆に気づかれた、ここでは働かぬ者は皆豚や石炭にされてしまう。
湯婆婆にここで働かせてくれと頼むんだ」





うわ良い声。





じ ゃ な く て。



何を言っているんだこの人は。

湯婆婆?誰それ?働かせてくれ?何故!?


こんな、15の小娘に働けと?
どこかもわからない場所で!?


さっきから何が起こってるのかまるで理解できない。


目が覚めたら知らないところだし、

身体透けてくし、

絶望してたら綺麗な青年が現れるし、

キスされるし、

でも変な実を食べたら身体戻ったし、

挙句の果てには「働け」。






それよりまず普通、私を元の世界へ返すのが普通でしょうよ!




A「あは、いや、まった、無理だよ、私働いたことないし、ねえそれよりここどこなの、わたし、帰れるよね、」




久しぶりに声を出した気がする。

そんな掠れた声で、私は彼に一生懸命問いた。


冗談でしょう、という意味をこめた、引きつった笑みのせいで、頬の筋肉がピクピクと痙攣するのがわかる。




ああ一刻も早く、答えが欲しい。


今まで私は解説と答えのある人生を送ってきた。

解説がないと何もわからないんだ、答えがないと不安でたまらないんだ。





働けだなんて、まさか一生ここから出られないなんて、そんなこと、あるはずない、信じたくない_____。







_私は、ああ、今どんな顔をしているのだろう。

親に怒られた子どものような顔をしているのだろうか。
それとも、捨てられた仔犬?



美しい青年の目に映る私の顔は、曇って見えなかった。








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設定タグ:千と千尋の神隠し , ハク   
作品ジャンル:恋愛
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ちゅん(プロフ) - 凄く素敵なお話ですね^_^続きが凄く気になります(^^) (2022年3月25日 23時) (レス) @page48 id: 1fdd2ab3eb (このIDを非表示/違反報告)
- 今更かもですが、私も続き気になります…。 (2018年11月16日 19時) (レス) id: 08a665f28f (このIDを非表示/違反報告)
れんらん(プロフ) - 更新お願いします! (2018年8月9日 19時) (レス) id: 0c5afdadd2 (このIDを非表示/違反報告)
KA☆SE☆I(プロフ) - 続きがめっちゃ気になります!更新頑張ってください! (2018年6月10日 19時) (レス) id: 34b5e9b2d8 (このIDを非表示/違反報告)
YuRa(プロフ) - ねこさん» 続く予定です!筆者の受験が終わりましたら、更新を多くしていきたいと思います! (2018年3月4日 14時) (レス) id: 16af3255b2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:YuRa x他1人 | 作成日時:2016年11月27日 14時

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