第二十六夜 ページ28
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ハク「あとは休憩室、待機室…そのくらいか」
A「やった、もう少しで今日は解放されるんだね……」
あれから結構な場所を回ったと思う。
既に湯屋はお客様が大勢入っており、独特な薬湯の匂いと、鼻をくすぐる料理の香りでいっぱいだ。
私はハクに領収書の整理の仕方を教わりながら、目の前を通るお客様に会釈をする。
やはり間近で見る神様(?)は、大きくて不思議な姿形をしていたりするが、気前はよく、先程から私に飴玉のようなものをくれたり、話しかけてくれるのだ。
怖がって申し訳ないな、と心の中で謝ってしまうくらいに、存外彼らは優しいようだ。
それに、神様の中にも美女や美男子がいるらしい。
さっきは真っ白な着物を引きずりながら歩く女性がいたし、大きな刀を腰にかけた、髪の長い男性もいた。
この湯屋には色々なものを司る神様が来ると聞いたが、ああも美しいと、それぞれ何の神様なのか聞きたくなる。
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_ふと、目の前に、とても綺麗な女性が立っているのに気がついた。
顔半分を扇子で隠してはいるが、彼女は確実に美しいだろう。
色鮮やかな十二単と、床についてしまいそうなくらい長く艶のある黒髪。
目尻は真っ赤な紅で彩られており、美しさの中に隠れた妖しさすら感じる。
そんな彼女に見惚れていると__目が合い、にこりと目を細められた。
そのあまりの美しさに、爪先から頭の先端までが、大きく震えるのを感じた。
「あらあらあら、可愛い新人の女の子って、その子かしら?
噂に聞いていたよりずっと可愛らしいのね」
女性は驚くことに、まっすぐ私の元に向かってきて、私の顔を覗き込むようにしてきた。
きめ細かい白い肌と、長い睫毛がよく見える。
A(じゃなくて!!)
__近い、これは近すぎる、顔が近い!!
吃驚して、思わず腰を後ろにそってしまった。
その勢いで後ろに倒れそうになってしまって、慌ててハクに支えられながらバランスを取り戻す。
ハクに「なにをしているんだ」と小声で言われたが、それはこの女性に是非言ってほしい。何をしているんだと。
その一連の流れを見て、彼女はけらけらと笑っている。
私は恥ずかしくなって、顔が一気に熱くなるのを感じた。
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ちゅん(プロフ) - 凄く素敵なお話ですね^_^続きが凄く気になります(^^) (2022年3月25日 23時) (レス) @page48 id: 1fdd2ab3eb (このIDを非表示/違反報告)
猫 - 今更かもですが、私も続き気になります…。 (2018年11月16日 19時) (レス) id: 08a665f28f (このIDを非表示/違反報告)
れんらん(プロフ) - 更新お願いします! (2018年8月9日 19時) (レス) id: 0c5afdadd2 (このIDを非表示/違反報告)
KA☆SE☆I(プロフ) - 続きがめっちゃ気になります!更新頑張ってください! (2018年6月10日 19時) (レス) id: 34b5e9b2d8 (このIDを非表示/違反報告)
YuRa(プロフ) - ねこさん» 続く予定です!筆者の受験が終わりましたら、更新を多くしていきたいと思います! (2018年3月4日 14時) (レス) id: 16af3255b2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:YuRa x他1人 | 作成日時:2016年11月27日 14時