第十七夜 ページ19
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そのまま少々薄暗い廊下の先にあるエレベーターに乗ったあと、私とハクは口をきくどころか、目線も合わせずに、ただ沈黙の中に立っていた。
正直に言うと、この状況は結構辛い。
沈黙の中異性と密室にいるというのは、なかなかに緊張する場面だろう。
しかし空気は伝わるもので__ハクの震えるような息遣いが、私に安堵と祝福の言葉を伝えたがっていることを、私は感じ取っていた。
クールぶってるけどばっちり伝わってますよ、ハク様。
しかし私も彼に言葉をかけたかった。
一言お礼でも伝えたい。
そう思ったが、何故か目も合わなければ咳払いのひとつもないのだから、喋れるような状態じゃない。
だが、先に沈黙を破ったのは
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私だった。
ハク?知らない、なんか口もごもごしてた。
A「あの、ありがとう」
また私の声は震えていただろうか。
しかし私の言葉はちゃんと彼の耳に入ったようで、
ハク「私は何もしていない。
そなたの力だ、そう畏まる必要は無い」
そう、彼は振り向いて、優しく返してくれた。
その笑顔はすごく優しくて、暖かくて、私の心に安らぎを与えるような…。
細めた黒目、なびく黒髪、薄く弧を描いた唇。
美しいという言葉は、この人のためにあるんだろうな、と思った。
(あれ、なんだろう、この胸の高鳴り)
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ちゅん(プロフ) - 凄く素敵なお話ですね^_^続きが凄く気になります(^^) (2022年3月25日 23時) (レス) @page48 id: 1fdd2ab3eb (このIDを非表示/違反報告)
猫 - 今更かもですが、私も続き気になります…。 (2018年11月16日 19時) (レス) id: 08a665f28f (このIDを非表示/違反報告)
れんらん(プロフ) - 更新お願いします! (2018年8月9日 19時) (レス) id: 0c5afdadd2 (このIDを非表示/違反報告)
KA☆SE☆I(プロフ) - 続きがめっちゃ気になります!更新頑張ってください! (2018年6月10日 19時) (レス) id: 34b5e9b2d8 (このIDを非表示/違反報告)
YuRa(プロフ) - ねこさん» 続く予定です!筆者の受験が終わりましたら、更新を多くしていきたいと思います! (2018年3月4日 14時) (レス) id: 16af3255b2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:YuRa x他1人 | 作成日時:2016年11月27日 14時