重ねる姿、連なる思い ページ9
「ただし、俺は何度も合理的虚偽を貫くつもりは無い。見込みがないと判断すれば何時でも切り捨てるからな。
体力テストは終了。着替えておけよ。あと緑谷は夜桜に治してもらってからリカバリーガールのとこ行け。」
最後に怖い一言を残して、イレイザー先生は退出した。途端、焦った、怖かったなどの声が至る所に溢れて一気に賑わい始める。その中で、私を探し求める声がはっきりと聞こえた。
「夜桜？さんって分かる？」
「……夜桜は私だよ。緑谷くん。」
彼の元へ歩いていけば、顔を少し赤くさせて返事をした。……もしかして異性への耐性がないのだろうか。さすがに無さすぎな気がするが、あまり突っ込まないでおこう。
「あ、アノ……治癒をしてもらえって言われたんデスケド……。夜桜さんの個性って、炎関係だったよね。」
「あぁ、治癒もできるんだ。怪我した指出してね。」
会話のまま、差し出された片手を握る。「ひやぁ！」と何とも言えない声が彼から出たが、いちいち付き合っていたら時間がかかる。申し訳ないけれどそのまま治癒は続行させてもらった。
私の手から緑色の炎が溢れる。それは彼を焼き焦がす物ではなく、ほんのりと温度を与える程度の、包み込むような炎。
中で砕けている骨をくっつける。皮膚を通り越して中にまで作用できるこの力は、何度目に入れられたものだっけ。ふと過った悪夢からは目を背け、彼の治癒に力を注ぐ。
内出血した血管を治し、私は炎を収めて彼から手を離した。握っていた手が無くなり、見えるようになるとそこにあったのは赤黒くなった指ではなく、少し赤くなっただけの比較的真っ直ぐな指。
あまりの変化に周りから声が上がる。怪我を治された本人なんて、キラキラした目でこちらを見ていた。
「え！？あんなに痛かったのに……！ねぇ、どんな個性なの！？」
「あくまで私の個性のサブ。本質では無いから完璧には出来ないんだ。イレイザー先生も言ってたけど、ちゃんとリカバリーガールの所に行ってね。」
「うん！あ、僕緑谷出久って言うんだ！君の名前は？」
「私は夜桜A。これからよろしく、怪我の面では出来れば宜しくしたくないんだけどね。」
「うっ！ゼンショシマス。」
そろそろ着替えないと、見ていたクラスメイトも更衣室に移動して教室に残っていたのはわずか数人だった。私が教室を出る少し前、何となく彼をもう一度見つめる。
「凄いなぁ……！」
教室の電灯に手をかざして、宝物を見つめるように見ている彼は。
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ジャコ(プロフ) - ありがとうございます！実は啓吾兄さんの話に関してはお兄ちゃんしてるけど心に秘めるは……っていう展開が好きなのでその1億点が大変嬉しいものです(˶' ᵕ ' ˶) (2022年10月30日 18時) (
レス) id: 4409a0c551 (このIDを非表示/違反報告)
桃華 - お話やキャラ設定、面白くて続きが気になります！👀私的に、ホークスのことを啓悟兄さん呼びなのが1億点です（笑） (2022年10月30日 14時) (レス) @page36 id: cf0912901f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ジャコ | 作成日時：2022年6月30日 0時
