違いそれぞれ。4 ページ8
祈る気持ちで彼を見つめた。測定用のボールを受け取り、彼はまた円の中に戻っていく。どうか力を発揮してくれ。
すると、彼を中心に突風と轟音が響いた。近くにいたお茶子ちゃんを咄嗟に抱き寄せて、突風とその他塵を防ぐ。腕の中からは慌てるような声があったが、その事は頭になかった。
突風を吹かせた緑髪の彼――緑谷出久の指はボロボロになっていたのだ。
「先生……まだ動けます！」
「……！コイツ……！」
*****
『マスター……！僕まだ、動けます！』
『ん〜……いや、無理だと思うから処分ね。』
『やだ！お願い！マスターッ！』
*****
嫌な事を思い出してしまった。呼び起こされた記憶にいた彼はまだ来たばかりで、時折私に声をかけては"頑張って抜け出そう、僕妹がいるから早く帰らなきゃ"なんて希望を話していたのを覚えている。
あの後結局処分され、私に声をかける子はいなくなった。異端者であった彼は処分されてしまった。同じ状況下、叫びを上げてしまいたかったけれど、そうはいかない。
「ねぇ、Aちゃん！！恥ずかしい！離して！」
「……え？あ、ごめんねお茶子ちゃん。」
だって私は、我儘を言える権利を持っていない。1人救われた私が救けを求める権利なんて、存在しない。
だから、この恐怖にそっと蓋をした。
「あ、お茶子ちゃん次の種目測定しよう？……あれ？お茶子ちゃーん！」
「え、あぁ！うん、行こっか！」
(はぁっ……あの時のAちゃんすっごくかっこよかった……。いい匂いしたし……って、私何考えとるん！？)
*****
全ての種目の測定が終わり、私たちは集合させられた。
「んじゃ、パパっと結果発表。トータルは単純に各種目の評点を合計した数だ。口頭で説明すんのは時間の無駄なので一括開示する。」
数字を目で追って行けば、2位の位置に自分の名前を見つけ安堵した。1位は物を想像出来る個性の子で、各種目に適応した物を作り出していたため、この結果は当然だろう。
そして、自然と目が捉えてしまったのは緑髪の順位でもあった。21位：緑谷出久……先生によれば、除籍処分対象。
「ちなみに、除籍処分は嘘な。君らの最大限を引き出す"合理的虚偽"。」
「「「「「はぁーーーー！！？？」」」」」
あ、即座にひっくり返された。とにかく今回の試験では誰も処分されることはないらしい。近くにいた1位の女の子八百万百が「当然ですわ」と呟いていた。
(私の感覚は、本気だって言ってたけどな。)
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ジャコ(プロフ) - ありがとうございます！実は啓吾兄さんの話に関してはお兄ちゃんしてるけど心に秘めるは……っていう展開が好きなのでその1億点が大変嬉しいものです(˶' ᵕ ' ˶) (2022年10月30日 18時) (
レス) id: 4409a0c551 (このIDを非表示/違反報告)
桃華 - お話やキャラ設定、面白くて続きが気になります！👀私的に、ホークスのことを啓悟兄さん呼びなのが1億点です（笑） (2022年10月30日 14時) (レス) @page36 id: cf0912901f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ジャコ | 作成日時：2022年6月30日 0時
