愛を抱えて3 ページ49
《緑谷side》
「僕に対する思いと、他に対する思い……。」
「そ。じゃあね、緑谷くん。」
「……あっ？！待って、夜桜さん！……って、行っちゃった……。」
僕が前に手を伸ばした先には、もう誰もいなかった。駅のアナウンスと周りの雑踏だけになって、彼女の柔らかな声はもう聞こえない。ここに居ても彼女が帰ってくる訳じゃないと思い、仕方なく駅のホームへ向かった。
ちょうど到着した予定より1本後の電車の中で考える。彼女が伝えてくれた言葉を今日の出来事に重ねながら、忘れないよう一つ一つ噛み砕いて。
「……そういえば、『S型』？とか、『人形』？って、どういう意味だったんだろう……。」
その中で、死柄木弔が言っていた言葉を思い出す。その言葉が放たれた瞬間、夜桜さんが怒りを露わにして飛び出していった。それを見た死柄木弔は、凄く嬉しそうにしていて……。
「……もしかして夜桜さんは入学前から
「ブツブツうるせぇ！」
「ひっ？！あっ、すいません……。」
「……お？お前、その制服雄英高か？」
「え、あ、はい……。」
思わず思考の海に入ってしまい、隣の人に怒られてしまった。スーツを来た牛の角を生やしている男性は、こちらをまじまじと見ると声を沈めて話しかけてくる。
「……ははーん、その怪我……さてはヒーロー科だな？」
「えっ！？そ、そうです……。」
「はっはっは！不器用なヒーローの卵だなぁ！まだ4月だ、そんなとこで
「あ、ええ……すいませ、」
「謝ってばかりだなぁ卵！いいんだよ、最初に躓くやつは苦労するが、その分でっかく育つんだ！もっと自信持てよ、自信の無いヒーローは市民も応援できねぇからな。……お、俺の最寄りだ。じゃあな、頑張れよ卵！」
スーツの男性はそういうと、止まった駅で降りていってしまった。少し迷惑を掛けてしまったけれど、最後にはエールを送られた。
「……頑張れ、僕！」
沢山の
憧れに追いつくために。
『でもごめんね――――。』
1人で苦しむ人を、救い出せるように。僕も、愛を返せるように。
彼女に対する思いの名は、
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 177人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ジャコ(プロフ) - ありがとうございます！実は啓吾兄さんの話に関してはお兄ちゃんしてるけど心に秘めるは……っていう展開が好きなのでその1億点が大変嬉しいものです(˶' ᵕ ' ˶) (2022年10月30日 18時) (
レス) id: 4409a0c551 (このIDを非表示/違反報告)
桃華 - お話やキャラ設定、面白くて続きが気になります！👀私的に、ホークスのことを啓悟兄さん呼びなのが1億点です（笑） (2022年10月30日 14時) (レス) @page36 id: cf0912901f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ジャコ | 作成日時：2022年6月30日 0時
