愛を抱えて2 ページ48
学校を出て、駅まで歩いていく。私は電車に乗らずとも移動できる距離だけれど、怪我した彼のことが気になってついて行った。
雄英の最寄り駅前。ここでお別れだと思い、保健室を出て初めて彼と顔を合わせた。彼の目は悲しそうにしていた。
「……緑谷くん、どうしたの？怪我が痛むなら、応急処置程度に使おうか？場所は変えなきゃだけど。」
「……違う、違うんだ。」
怪我が痛くないのなら、どうしてそうも悲しそうなのだろうか。ただ出会って数日の同い年に、何か思うところがあるのだろうか。
「……時刻表見てくるよ。電車、逃したら嫌でしょ？」
「……1、2本くらい逃したっていいよ。」
この空気が嫌で離れようとした私の体は途中で止まる。怪我していない手が私の腕を掴んでいて、動けなくしていた。
「君が付けてた物の事とか、現れた
「だから、言ったよね？君にはまだ……」
「残酷すぎるから話せないって。でも、君は……確かにあの時、苦しそうな顔をしてた。リカバリーガールから睡眠薬をもらうくらい、保健室に運ばれてからの君は魘されてた。……身体的にも、精神的にも夜桜さんは辛い……と思う。」
彼の悲しみに染まった目が鋭くなる。それと同時に私の腕を掴む力も少し強まった。
「……だから、僕に話せる部分だけでも相談して欲しい。ずっとひとりで抱えるのは、辛いだけ……だから。」
……本当に、こんなにも綺麗な
「……夜桜さん？」
「……緑谷くん、手、離して欲しいな。」
「……！？うわぁごめんね掴んじゃって！！大丈夫？痛くない？あああというか僕はなんてことしてるの？！」
「ふふ、ありがとう緑谷くん。でもごめんね、やっぱり話せないよ。こんなに綺麗な君には尚更、ね。」
「緑谷くんにひとつ忠告……というかアドバイスかな。君は綺麗すぎる。ヒーローにとっても、普通の人間としてもそれは素晴らしい美点だ。ただ、きっといつかそれに苦しむ時が来ると思う。それこそ、私が抱えてるもののこと、とかね。」
「少し、緑谷くんは自己に対する思いと他に対する思いが釣り合ってない。自分の身が壊れれば、何も出来ないんだよ。」
彼が潰れてしまわぬように、ひとつセーブを掛けておく。いつかこの言葉が、彼を生かすものとなりますように。1つのエールを込めて。
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ジャコ(プロフ) - ありがとうございます！実は啓吾兄さんの話に関してはお兄ちゃんしてるけど心に秘めるは……っていう展開が好きなのでその1億点が大変嬉しいものです(˶' ᵕ ' ˶) (2022年10月30日 18時) (
レス) id: 4409a0c551 (このIDを非表示/違反報告)
桃華 - お話やキャラ設定、面白くて続きが気になります！👀私的に、ホークスのことを啓悟兄さん呼びなのが1億点です（笑） (2022年10月30日 14時) (レス) @page36 id: cf0912901f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ジャコ | 作成日時：2022年6月30日 0時
