愛を抱えて1 ページ47
「……参ったよ。流石に事情を知らない少年の前で黒い部分を見せる訳には行かないからね。とはいえ、悪かったよ。君の大切なものを取り上げてしまって。」
塚内警部は鞄から鉄輪を取り出し私に預ける。私はそっと抱きしめ、戻ってきたことに安堵したのだった。
「……無理を言ってしまい申し訳ありませんでした。何かあれば、私にご連絡ください。今手元にないので口で番号を……」
「いや、いいんだよ。まだ子どもの君がそこまでする必要はないんだ。何か言われたら、いたいけな少女を虐めるなってオールマイトに言われたと伝えておくさ。」
「…………えっ？！私かい？！」
「いいだろ？大事な生徒のためなんだよ、センセイ。」
「ぐっ……。」
茶番をしている2人を見ながら、寝かされていたベッドを出る。ベットの下には私の鞄が置かれており、その近くの棚の上には制服が置かれていた。それを仕舞い、リカバリーガールの元へ向かう。その姿を見た緑谷くんもいそいそと出る準備を始めたようだ。
「……リカバリーガール先生。タオルと治療、ありがとうございました。体に異常はないので帰りますね。」
「ちょいと待ちな！あんたの心はまだ完全に落ち着いた訳じゃないだろう？ほら手をお出し。」
「……？ペッツと……？」
「あまりあたしのとこで薬を出すのは良くないんだけどね。1錠水で。効き目が出るのは早いから寝床周辺で飲むんだよ。ただし眠れない夜だけ、追加はしないからね。」
「……。」
「あんたがした事は、世に許されることじゃない。でも、あんたがされた事も、世に許されることじゃない。した事だけ責めるのはお門違いさね。…………打ち明けられないことも多いけど、辛い時は誰かに頼るのが1番。分かったら絶対抱え込むんじゃないよ！」
リカバリーガール先生から渡されたのは、赤と紫の飴と、6錠の薬。説明を聞く限り、睡眠薬のようだった。薬の入っている小さな袋には、注射器とリカバリーガール先生の簪が小さく書かれている。
「……ありがとう、ございます。それでは、さようなら。オールマイト先生、リカバリーガール先生、塚内警部。」
「あっ、僕も一緒に帰るよ！あ、ありがとうございました！」
可愛らしい袋をポッケにしまって、痛ましい首輪をカバンに片付けて。私と緑谷くんは一緒に保健室を出た。
しかし、どれだけ歩こうとも会話は一言もない。ただ静かな空間を、2人で歩き続ける。重傷を負った緑谷くんに合わせているため、余計に長く感じる。
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ジャコ(プロフ) - ありがとうございます！実は啓吾兄さんの話に関してはお兄ちゃんしてるけど心に秘めるは……っていう展開が好きなのでその1億点が大変嬉しいものです(˶' ᵕ ' ˶) (2022年10月30日 18時) (
レス) id: 4409a0c551 (このIDを非表示/違反報告)
桃華 - お話やキャラ設定、面白くて続きが気になります！👀私的に、ホークスのことを啓悟兄さん呼びなのが1億点です（笑） (2022年10月30日 14時) (レス) @page36 id: cf0912901f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ジャコ | 作成日時：2022年6月30日 0時
