オクルモノ3 ページ43
「……いいよ。ちゃんとしっかり前を見て、皆を見つけ出すんだよ。見つけたら、手を握って一緒に笑うの。そうすればきっと来世でも一緒に、幸せに暮らせるから。ここで頑張ったから、ちゃんと報われるよ。」
私達は、
それでも私達は生き抜くために、想像した
だから私がここで伝えるべきは、「おやすみ」でも「さよなら」でもない。
「…………またね。」
また、皆と一緒に笑い合える時まで。
「……ま、た……」
彼をノートを持つように強く抱き締め、両腕に熱を集める。両腕に炎を行き渡らせつつ、背中に未だ生えている翼で彼を包み込んだ。
彼の体は四方を炎に囲まれているはずなのに、痛みの声をあげない。耐久実験の副産物かもしれないけど、私達の終わりに悲鳴なんて嫌だからよかった。最期は晴れやかな笑顔で、君の体を届けよう。
緑の炎と赤色の炎が混ざり合い、彼を繭のように包み込んでいく。完全に包み込まれ姿が見えなくなる直前、彼は声にならない形だけの言葉を私に送った。
――――――――しあわせ。
「……なら、よかった。」
完全に炎がハツを飲み込み、見えなくなったなら。私は炎の温度を一気に高くして、中を出来る限り一瞬で焼いた。肉も、骨の髄も。余韻や未練だってかき消すほど、一瞬で。
「―――――――――。」
「……っ、あぁ……！」
誰かの呼ぶ声がする。
「ああぁっ…………！」
私の泣き声が聞こえる。
「はづぅ……！」
返事は帰ってこない。
「あ、あ゛ぁあ……！」
自らの意思で、確証を持って殺したのは初めてだ。
命令によって、意志とは反する形で殺めてしまったことは
ただ、生き続けることを目標に過ごしていたため、自ら死を望み手をかけるなんてことはなかったのだ。……私が知らないだけかもしれないけれど。
手に残る彼が消えてゆく感覚。肩にはまだ彼の涙が残っている。手に残っている冷たい首輪だけが、確かに数分前までハツが存在していたことを証明している。
殺めた罪悪感と彼にとって幸福な最期を過ごせただろう喜びが混ざりあって、呼吸を邪魔した。息苦しくて、さらに涙が溢れ出した。
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ジャコ(プロフ) - ありがとうございます！実は啓吾兄さんの話に関してはお兄ちゃんしてるけど心に秘めるは……っていう展開が好きなのでその1億点が大変嬉しいものです(˶' ᵕ ' ˶) (2022年10月30日 18時) (
レス) id: 4409a0c551 (このIDを非表示/違反報告)
桃華 - お話やキャラ設定、面白くて続きが気になります！👀私的に、ホークスのことを啓悟兄さん呼びなのが1億点です（笑） (2022年10月30日 14時) (レス) @page36 id: cf0912901f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ジャコ | 作成日時：2022年6月30日 0時
