オクルモノ ページ40
「お……ねがい、止ま……っ、よ！ねぇ！」
何度も何度も、私とイノハの名前を呼んでくれた彼は今。私が始末しなければならない対象として立っている。
私も彼も、ずっと泣いていた。会えた喜びも、退治する悲しみも全てを乗せた涙を流し続けていた。
焼かなきゃいけない、両親から貰った炎を使って、改造されてしまった力を使って。共に、その痛みを分け合った子を。涙と共に、炎が溢れる。感情が安定しない今、不規則に揺れ動く炎は中途半端に彼の茨を焼き、彼の叫びが耳を貫く。
「どうしよう、どうしようどうしよう……！」
「お前は下がってろ！」
グルグルと頭を回し続けていると、体が後ろに引っ張られた。原因は、氷に半身を閉じ込めた幼馴染。彼は私を後ろに引いた瞬間、ハツに向かって氷を放った。しかし、酸性の毒を持つ茨は激しく暴れ氷を溶かしながら自らを傷つけている。
「……！いた、ねぇ……！い、たい！ごめん、ごめん……！」
痛みに喘ぎ続ける彼の声がオーバーヒートした脳を少しずつ冷やしていく。心の波が落ち着いて来た時、聞き覚えのある声が後ろからした。
「Aちゃん！権限を使いなさい！」
声の主は私を救ってくれた、気高い女性。眠り香で眠らせた爆豪くんや切島くん、緑谷くんを抱えた彼女は自らの首を指さしながらこちらに叫んでいた。その動作につられ、自らの首に触れるとマフラー越しに硬い鉄……ハツと同じ首輪の感覚があった。
権限。
公安の人達は、この首輪を外した後に解析、改造を施し下位ランクに命令を出す機能は残したまま他の命に関わるシステムを解除した。その際に残された命令をする機能、それが権限である。
その言葉にハッとして、涙でぼやけていた視界を乱暴に拭う。私達を苦しめた力に触れようとしているのに、私の心は先程よりも穏やかだ。
未だに氷を出し続け白い息を吐く幼馴染の前に出る。彼は肩に触れ止めようとしてきたが、マフラーを外してしまえばその手は止まった。
「……お前、その、首輪……！」
質問を受け流して、深呼吸。首に手を添え、個性に使われているようなハツを見つめた。そして、喉を震う。
〈個性を止めろ、『上位ランク命令だ。』〉
その瞬間、彼の体と蔓はぐらりと傾き地面に落ちた。痛む傷も気にすることなく走り出し、彼の体を受け止めた。彼の体は、冷えつつあった。
「ヨナ、お姉ちゃん……ごめん、」
「いいんだよ、私もっ……ごめんね……！痛かったね、命令されて怖かったね……！」
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ジャコ(プロフ) - ありがとうございます！実は啓吾兄さんの話に関してはお兄ちゃんしてるけど心に秘めるは……っていう展開が好きなのでその1億点が大変嬉しいものです(˶' ᵕ ' ˶) (2022年10月30日 18時) (
レス) id: 4409a0c551 (このIDを非表示/違反報告)
桃華 - お話やキャラ設定、面白くて続きが気になります！👀私的に、ホークスのことを啓悟兄さん呼びなのが1億点です（笑） (2022年10月30日 14時) (レス) @page36 id: cf0912901f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ジャコ | 作成日時：2022年6月30日 0時
