報道・how do? 5 ページ26
話すうちにグレーゾーンへと踏み込みかけた会話を緑谷くんが修正する。よそはよそだ、あまり変な影響を受けないように配慮したのだろう。
口を開き、答えようとしたその瞬間。私の後ろから鳴り響いた警報音によって、食堂の空気が凍った。その三秒後……私たちは人並みに飲み込まれ、パニックの渦中にいる。
「お茶子ちゃんっ！手を掴んで！緑谷くんと飯田くんもできる限り離れないように……！」
「さすが雄英……！避難の速度が迅速だ！」
「そんなこと言ってる場合じゃないよ！なんでこんなことに……！？」
近くにいたお茶子ちゃんを個性把握テストの時のように抱きしめる。彼女の周囲には偶然だろうが体格のいい男子生徒が多くいた。彼女を手放さないよう腕に力を込めながら、周囲に目をやる。
「一体何が……？火災が起こるとは考えられない、となると侵入者……？」
「……っ！A……ちゃ、外！」
「外……？……！朝のマスコミがなんで中に？」
腕の中のお茶子ちゃんの声に従って外を見れば、中に入ってきたマスコミたちの姿。周りはパニックで気がついておらず、とにかく非常口に向かおうと必死になっている。
遠くからは避難誘導をしようとする切島くん達の声が少し聞こえたが、全体を停めなければこの騒ぎは鎮静できないだろう。こんなとき、啓吾兄さんならどうするか。
きっと、すごい作戦をすぐ考えてすぐ実行する。完璧な作戦を組み立てて実行し成功する姿は、公安で何度も見た。それでも、どうしても私は思い付けなくて……。
「麗日くん！俺を浮かせてくれないか！！」
回り続けていた思考が1度止まり、彼へと意識が向く。私は無意識にお茶子ちゃんを閉じ込めていた手を離し、彼女を彼へと近づけた。
「何か……考えがあるんやね！……頼んだよ！」
伸ばした手と手が、ほんの少しかする。刹那、彼の体は浮かび出し、皆が逃げる先……非常口のマークの下に張り付いた。
「大丈ーーーー夫！！」
「ただのマスコミです、何もパニックになる事はありません！大丈ーー夫！ここは雄英、最高峰の人間に相応しい行動を取りましょう！」
遠くまで響く声と、本物の非常口のようなインパクトある姿は多くの生徒に届き、騒ぎは少しずつ落ち着いていく。人の流れは少しずつ緩やかになり、普段の食堂の空気を取り戻しつつあった。
張り付いたままの飯田くんを地面におろし、あの後流されてしまった緑谷くんも合流して、私たちは集まることが出来た。
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ジャコ(プロフ) - ありがとうございます！実は啓吾兄さんの話に関してはお兄ちゃんしてるけど心に秘めるは……っていう展開が好きなのでその1億点が大変嬉しいものです(˶' ᵕ ' ˶) (2022年10月30日 18時) (
レス) id: 4409a0c551 (このIDを非表示/違反報告)
桃華 - お話やキャラ設定、面白くて続きが気になります！👀私的に、ホークスのことを啓悟兄さん呼びなのが1億点です（笑） (2022年10月30日 14時) (レス) @page36 id: cf0912901f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ジャコ | 作成日時：2022年6月30日 0時
