甘美な猛毒・苦い愛情1 ページ19
紅く光る、妖しげな瞳。全てを見通された瞳は、私たちの動作を個性を使わずとも凍らせた。
周囲に散る火の粉と灰。後ろから差し込むのは、陽の光ではなく栄光。地面に散ったガラスは、散りゆく敵兵。
物語では大体退治される、独裁政治を司る悪役の女王。だが、その裏にある己の駒を守らんとする信条。
一瞬でそれらを焼き付けられた私達は、息をただ飲むことしか。敗北した私達は、頭を垂れて、焼き尽くされるのを待つことしか出来ない。
「戦意喪失、かな。」
黒と赤の鳥？そんなものは間違いだ。全てを統べる、炎の使い手。支配者のごとく、立ちはだかるものには鉄槌を下す。
「チェック、メイト。」
オールマイトの決着の声が遠くに聞こえるほど。ウチも瀬呂も、彼女と1つの空想と重ね合わせていた。
((あれは、炎の王……
厨二病とか、想像力豊かとか、そういう訳じゃない。全ては、彼女に焼き付けられた実力と印象。
(あぁ、これからウチ……クラスメイトとしてやっていけるかな。)
(俺、これからあの子に逆らえない気がする……。やってけるかな、ヒーロー科……。)
「よかった、勝てて……。あ、無理やり縛ったけど手、痛くない？大丈夫？」
戦闘が終わると、支配していた空気が散った。囚われていた腕も解放されて、先程が幻惑だったかのように変わった彼女が笑顔で此方に来る。フードも外され、白い髪がサラリと外に這い出た。
「え、あ、おう！」
「う、ウチも大丈夫！」
「よか……くない！！瀬呂くん、手首に赤い跡出来ちゃってる……ごめんね、つい熱が入っちゃって加減出来てなかったかも。今治癒するね。」
「は？！」
息がしやすくなった空間にほっとしていると、瀬呂が手首を取られる。瀬呂は驚いて若干頬を赤くしていた。
「……ごめんね、絶対に跡なんて遺させないから。」
何か恨むものを見るような目。戦闘中とは別の、赤みが増したような瞳が、拘束跡を睨んでいた。
手首を優しく包みこむ、緑色の炎。ウチも炎をを見ていたけど、瀬呂と目が合った時はそっと逸らしておいた。
「……よし、治癒完了！今度はちゃんと言ってね、瀬呂くん！」
「あ、あぁ、……ありがと。ほら、早く戻るよ！オールマイト絶対待たせてるから！」
「あ、待って！そっちテープだらけだから、Aに運んでもらったら？」
「―――！？」
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ジャコ(プロフ) - ありがとうございます！実は啓吾兄さんの話に関してはお兄ちゃんしてるけど心に秘めるは……っていう展開が好きなのでその1億点が大変嬉しいものです(˶' ᵕ ' ˶) (2022年10月30日 18時) (
レス) id: 4409a0c551 (このIDを非表示/違反報告)
桃華 - お話やキャラ設定、面白くて続きが気になります！👀私的に、ホークスのことを啓悟兄さん呼びなのが1億点です（笑） (2022年10月30日 14時) (レス) @page36 id: cf0912901f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ジャコ | 作成日時：2022年6月30日 0時
