格の違い5 ページ17
「……4階、奥から2番目の部屋……部屋の左側に核……あと、入口のドアにテープ、瀬呂くん達は部屋で待機……来た瞬間耳郎ちゃんが報告、瀬呂くんが捕縛……って予定かな。」
しばらくすると、炎が動くものを発見する。瀬呂くんは足から肩までは露出してないため、薄くした炎を体に這わせても気づかなかった。肩にある独特なテープのおかげで片方が割れたため、もう片方は調べる必要が減った。
「まぁ、あんまりいい方法ではないけれど……作戦には必要なことやし、仕方なか。……さて、全部割れたことやし、チェックメイトと洒落こもか。」
薄くした炎を私の元に集め、熱を込める。このコスチュームは啓吾兄さんのと同じように小さな切れ込みが入っているため、服を燃やすことも破ることもせずに羽を生やせるから便利だ。
散策した時間よりももっと早い時間で完璧な完成した、私の力を象徴するようなコレは存在を示すが如く激しく燃えている。
少し後ろに下がり、助走をつけて羽ばたけば。足は地面から離れて空へ舞い上がった。風が目に入るのを防ぐため、フードを被ればほんの少し視界が狭まったが、そんなことはどうでもいい。
もうどの可能性を選んだとしても、彼らには敗北が決まっているのだから。
先程見つけた部屋まで旋回して飛び、窓の斜め上辺りで止まる。窓から見えた様子は、誰も来るはずがない扉の前で構える瀬呂くんと、首を傾げる耳郎ちゃんだった。
「……ふふ、残念でした。」
炎を足に纏わせ、空中で一回転。力を込めた足が窓に触れた瞬間、窓ガラスは割れ、その後熱によって溶けていった。音に驚いた2人が後ろを振り向き、瀬呂くんがテープを出そうとする。
「させない。」
足の炎を地面伝いに彼らの元へ送る。少し増量して送ったそれらを糸状にして腕を縛り、地面と縫いつくようにしてしまえば、瀬呂くんは地面にしかテープを出せなくなる。耳郎ちゃんはどう頑張ってもイヤホンが届かなくなるため手出しは不可能だ。
「くっそ……！わりぃ耳郎！捕まった！」
「こっちも同じ状況！イヤホンも届かないし、やばいよコレ！」
ほんの少し残ったガラスが、歩く度にジャリ、と音を出す。彼らの視線は、完全に私に釘付けだった。核までにあったテープも、目の前で灰と化してしまえば、
「……戦意喪失、かな。」
「「……っ！」」
「チェック、メイト。」
彼らを少し見つめれば、息を飲む音が聞こえた。大きく見開かれた目に思わず笑う。
そっと、核に触れる。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 177人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ジャコ(プロフ) - ありがとうございます！実は啓吾兄さんの話に関してはお兄ちゃんしてるけど心に秘めるは……っていう展開が好きなのでその1億点が大変嬉しいものです(˶' ᵕ ' ˶) (2022年10月30日 18時) (
レス) id: 4409a0c551 (このIDを非表示/違反報告)
桃華 - お話やキャラ設定、面白くて続きが気になります！👀私的に、ホークスのことを啓悟兄さん呼びなのが1億点です（笑） (2022年10月30日 14時) (レス) @page36 id: cf0912901f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ジャコ | 作成日時：2022年6月30日 0時
