格の違い1 ページ13
更衣室にて、トランクケースを開ける。中には黒や深い青を中心とした、闇に紛れやすいカラーのコスチュームが鎮座していた。
黒色のタンクトップ、短パンを着る。藍色のフード付きケープを付けて、腕には二の腕から手の甲までの手袋を付けた。ほんの少しの飾りとして、手の甲には暗い赤色で鳥の羽のような刺繍がされている。
太腿にはクナイを3本ほど付けて、グルカと呼ばれる編み込み状の靴を履く。空を飛ぶこともあるため、コスチュームは出来るだけ軽い素材であることが好ましいのだ。最後に首輪をつけ、薄手のマフラーを巻けば完成。
ヒーロー活動中は基礎学であれど必ず着けるように指示があったのは、成長値の管理がしたいからだろうか。あるいは、離れられないという暗示か。
「……本当に、タチ悪いよね。」
他の女子から離れた位置で呟いた言葉は、当然誰にも拾われることがなかった。着替え終わったことだし、早く出ようと思って扉へ向かう。ちらりとワイワイ着替えるみんなをみると、どれも可愛らしく、かっこよく……それぞれの個性を発揮するものばかりだ。
「……表のヒーローなら、そんなものか。」
私は、裏で仄暗い仕事に関わるんだ。それなら、このコスチュームで十分。
昨日の消えちゃうのか聞きたかった女の子と、少し目が合った気がした。けれど、特に思うこともなかった私はするりと扉を開けてグラウンドへ向かったのだった。
ちなみに、私が退出したあと。
「ねぇ、さっき出ていった子ってさ、昨日緑色の男の子の治癒してあげてた子だよね！何だか大人って感じ〜！」
「ね、かっこよかったよね〜！何だか胸がドキドキしちゃった！」
「暗い色中心でしたわね……アングラヒーローを目指しているのかしら……？もしや相澤先生に憧れて……？」
「Aちゃんとお話したかったんに、行ってもうた……。グラウンドに着いたら声掛けよっと！」
更衣室で私のコスチュームが話題に上がっていたことなんて。お茶子ちゃんがほんのり寂しい思いを感じていたなんて。
「……。」
炎を封じこめた幼馴染の姿に寂しさを覚えていた私は、知りもしなかったのだった……。
「……何だ。さっきからずっと見てるが。」
「…………本当に、忘れちゃったんだ……。」
「……？何がだ？」
「いや、なんでもないです。忘れて。」
「……あぁ。」
あの時の約束も、あの時の思い出も、実験中の痛みと炎の中で燃え尽きてしまったのだろうか。
彼の記憶に、私はいない。
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ジャコ(プロフ) - ありがとうございます！実は啓吾兄さんの話に関してはお兄ちゃんしてるけど心に秘めるは……っていう展開が好きなのでその1億点が大変嬉しいものです(˶' ᵕ ' ˶) (2022年10月30日 18時) (
レス) id: 4409a0c551 (このIDを非表示/違反報告)
桃華 - お話やキャラ設定、面白くて続きが気になります！👀私的に、ホークスのことを啓悟兄さん呼びなのが1億点です（笑） (2022年10月30日 14時) (レス) @page36 id: cf0912901f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ジャコ | 作成日時：2022年6月30日 0時
