重なる姿、連なる思い 2 ページ11
〘Aside〙
テストも無事に終わって、夕暮れ時。雄英校舎を出た私は見覚えのある鳥に捕まっていた。小さな白と黒を持つ鳥は相も変わらず私に懐いているようだ。
「くふ、くすぐったいよ……。朝会ったのにまた会うなんて、ここ周辺で飼われているの？」
聞いてみてもピルピルと可愛く鳴くだけで離れてはくれない。私の肩に止まって頬ずりしてくるものだから、あまり首を動かせない。これ程懐いてくれているのに冷たくはあしらえず、どうするべきかと悩んでいた。
「……あ！Aちゃんや！おーい！」
すると、私と同じように校舎から出てきたお茶子ちゃんに声をかけられた。首を動かさないように小さく手を降れば、お茶子ちゃんが不思議そうに首を傾げてこちらを見る。
「……って、肩に鳥が乗っ取る？！すごい懐かれてるけど、どうしたらこうなったん……？」
「私も分かんなくって……。こんなに懐いてくれてるから追い払うのも躊躇っちゃって……。鳥仲間だと思ってるのかな……？」
「鳥仲間……？あぁ、Aちゃんの髪白いもんね！いいなぁ……綺麗な髪やもん。そう思うのも無理ないよ。」
「………………そっか。」
綺麗な髪だと褒めてくれた。数年前までこの髪は汚い赤黒い色だったのに。
『ヨナの髪、白と赤が混ざってるよね！私、本で読んだことがあるよ。赤と白の組み合わせはいいことが起こるんだって！だから、ヨナはきっと生き残れるよ！』
同じように、私を慰めてくれた黒髪白目の女の子がいたっけ。その子は私にそう告げた翌日に居なくなってしまったけれど。
無邪気で、あそこでの最適解を知らない子だった。幼かったからか、来てすぐの頃だったからか。私の事を見つけては、さらりと話しかけて先程のように褒めてくれた。
「……お茶子ちゃん。」
「……ん？どうかした？」
「…………何でもない。」
いつの間にか白と黒の鳥は飛び立っていた。
春の花弁を儚く残して、ぴるると悲しそうにさえずる声だけが、残響していた気がする。
聞けるわけないよね、綺麗なあなたに。
明日死んじゃうの？
なんて。
「あ、あそこにおるのデクくん達やん！一緒に行こ！おーい！デクくんー！飯田くーん！」
「……。」
「ム！君は
「ウチだけやないよ！Aちゃーん！」
「今行くよー！」
私は日記にこう記した。
高校生活の始まり。たくさんの記憶が甦った私は血を被るような思いだった。汚れてる私を見つめないで。
ごめんね
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ジャコ(プロフ) - ありがとうございます！実は啓吾兄さんの話に関してはお兄ちゃんしてるけど心に秘めるは……っていう展開が好きなのでその1億点が大変嬉しいものです(˶' ᵕ ' ˶) (2022年10月30日 18時) (
レス) id: 4409a0c551 (このIDを非表示/違反報告)
桃華 - お話やキャラ設定、面白くて続きが気になります！👀私的に、ホークスのことを啓悟兄さん呼びなのが1億点です（笑） (2022年10月30日 14時) (レス) @page36 id: cf0912901f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ジャコ | 作成日時：2022年6月30日 0時
