兄妹ヒーローズ1 ページ41
兄さんは本当に速い。私がいくら兄さんの羽を見て炎で再現しても、兄さんほど速く飛ぶことは出来ないくらいに。
そんな兄さんがしてくれる約束は、どんな風が吹いても破れることがない。実際、今まで1度も破られることなく続いているのだから、安心感がとてもあった。
「それに、俺いい話聞いたんよ。Aは今14。2年後……高校入学する時に"雄英高校ヒーロー科"を選択すれば何時でも捜査をできるようにしてくれるらしいと。
まぁ、正直色んな制約はあるやろうし、Aの将来を強制してるようなもんやから、気は進まんけど。」
「……ほんとっ！？」
「やっぱりこうなった……。でも、元気になったようでよかった。ただいま、A。」
「あっ……おかえり、兄さんっ！」
「……あーもうあいらしかっ！」
気がつけばいつも通り。涙は枯れていて、顔にあるのは兄さんの頬の感触だ。兄さんはスキンシップが意外と多くて抱きしめられることや頬擦りは日課と化すほどである。
話を戻そう。つまり大事な日とは、私が雄英高校に通うため公安の寮を出る日である。この日のためだけに兄さんは有給を使って、雄英高校付近のマンションまで送ってくれるとのこと。
そんなことに有給を使っていいのかと聞けば、
「Aとの長いお別れやろ？！そんな日に仕事するような薄情者じゃなか！！！！」
と、若干キレ気味に叫ばれた。そんな一生のお別れでは無いのに……と思った私は悪くないと思う。
「……でも、本当に行くんやね。」
静岡へ向かう電車の中。赤い羽根はリュックで隠されていて、周囲からはただの仲睦まじい兄妹に見られたようだ。生暖かい視線が何だかむず痒がった。
そんな中、兄さんはぽつりと言葉をこぼした。
「……勿論行くよ。コードPDの捜査指示権貰う事の交換条件やからね。」
「俺が言いたいことはそうじゃないんよ。」
降りる駅に電車がはいり、少しずつスピードが落ちていく。今まで片方に動いていた体は反対側に引き寄せられ、自然と兄さんの胸に寄りかかる形になった。
兄さんは片手で私の肩を持って支えてくれる。もう片方の手を頭に乗せて、二三横に動かした。
「大きくなったなぁって、実感が湧いたんよ。」
撫でられる感覚が心地よくて、思わずその手に寄り添ってしまう。そろそろドアが閉まるからと、頭の手が私の手首に移った時、寂しいと感じてしまうほどに暖かいものだった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 186人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ジャコ(プロフ) - ぬうさん» 返信遅れてごめんなさい！こちらこそありがとうございます！待ってくれている人がいると思うと頑張れます……！ (8月8日 14時) (
レス) id: 245b9733ce (このIDを非表示/違反報告)
ぬう(プロフ) - 公開ありがとうです() (8月4日 2時) (レス) id: 1d36f8c737 (このIDを非表示/違反報告)
ジャコ(プロフ) - 質問ありがとうございます。続編のパスワードは一時的につけているものです！そろそろ公開する予定なので、ご安心ください！ (2022年7月5日 17時) (レス) id: 4409a0c551 (このIDを非表示/違反報告)
みく(プロフ) - 質問失礼します！続編のパスワードについて公開してるけど鍵をしているのか全て終わった後まとめて公開などで鍵をしてるいるのか知りたいです！もし前者の場合教えてもらうことは可能でしょうか？更新頑張って下さい！応援してます！ (2022年7月5日 16時) (レス) @page50 id: ee1511a796 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ジャコ | 作成日時：2021年10月8日 18時
