井の中のかわず4 ページ21
光が止むと同時に、薄汚れた部屋が目に入る。研究員の足音も聞こえ、朝になったことを知った。
いつものように部屋から出されて、いつものように実験室に閉じ込められる。いつもの地獄だけど、時が進む感覚はいつもの何十倍も早かった。
ただひたすらに渡されるタスクをこなして、こっそり治癒を施す。気がつけば実験は終わっていて、自由時間となっていた。
図書館に転がり込むように飛び込む。いつもE-0813は私よりも早く実験が終わっているから、今日も早く来て本部で本を読んでいるはずだ。
まぁまぁな広さを持つこの図書館。普段は広さなんて全然気にしないのに、それすらも億劫に感じてしまう。
だって、ずっと悩んでいたことを解決することが出来る、とっても素敵なアイデアを貰ったから。
「……っ！ねぇ、E-0813！」
「うわっ！びっくりした、実験後だろ？！
傷に触るから走ったら……」
「それどころじゃないの、夢ですごくいいアイデアを教えてもらったの！！……痛っ。」
「あぁもうちょっと開いちゃってる……。水で軽く洗うからこっち来て、治癒しながら話そう。」
傷口を冷やしてもらいながら、夢での出来事を意気揚々と語る。最初はとうとう頭に何か施されたかと言わんばかりの表情だったけれど、後半部分でやりたいことを理解してくれたのか、目を輝かせて聞いていた。
「なにそれ、盲点だった……！ここを、普通の空間にもっと寄せれば、精神の回復に繋がるはず……！」
この図書館では、外のことが書かれた本も少なくはない。その中で自分は周りとは違うと感じてしまい、心に少しずつ傷を負ってしまう子は多くいるのだ。
「じゃあ、さっそく始めよう"イノハ"！」
「え……？イノハって、俺の……」
「早く、時間来ちゃうよ！」
「あ、え、待ってよS……あぁ、ええっと、"ヨナ"！さっき応急手当したのに開いたら意味ないだろ！」
図書館で走るのは良くないけれど、子どもが友達と遊ぶみたいにはしゃぎ回った。だって、この時だけは名前が与えられて被検体なんてことを忘れれたから。
周りにいた他の子達も話を聞いてさっそく始めた。どんどん識別番号を呼ぶ声は消えていって、何日かたった時には図書館で番号が呼ばれることはなくなった。
外ではもちろん番号で呼ばれるけれど、あそこに戻って早くあの名前を呼ばれたいと生き抜く子が多くなった。結果的にあいつの結果を上々のものにしてて気に食わなかったけれど、生き抜けることが第1だ。
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ジャコ(プロフ) - ぬうさん» 返信遅れてごめんなさい！こちらこそありがとうございます！待ってくれている人がいると思うと頑張れます……！ (8月8日 14時) (
レス) id: 245b9733ce (このIDを非表示/違反報告)
ぬう(プロフ) - 公開ありがとうです() (8月4日 2時) (レス) id: 1d36f8c737 (このIDを非表示/違反報告)
ジャコ(プロフ) - 質問ありがとうございます。続編のパスワードは一時的につけているものです！そろそろ公開する予定なので、ご安心ください！ (2022年7月5日 17時) (レス) id: 4409a0c551 (このIDを非表示/違反報告)
みく(プロフ) - 質問失礼します！続編のパスワードについて公開してるけど鍵をしているのか全て終わった後まとめて公開などで鍵をしてるいるのか知りたいです！もし前者の場合教えてもらうことは可能でしょうか？更新頑張って下さい！応援してます！ (2022年7月5日 16時) (レス) @page50 id: ee1511a796 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ジャコ | 作成日時：2021年10月8日 18時
