くろいろ ページ3
あれから、少し季節が回った。
幼稚園に行って、焦凍くんと遊んで、家に帰って、お母さんとお父さんとぎゅーしあって
眠って、また幼稚園に行って…
毎日がすごく楽しかった。
私と焦凍くんの個性が同時に出たときは顔を見あって大笑いしたの。
お約束を思い出してすぐに距離をとったけどね。
私の両手から炎が生まれて、焦凍くんの右手から氷、左から炎。
同じ個性だねって、笑いあっていられたんだよ。
でもね、その日から焦凍くんは笑うことが少なくなったの。ほっぺとか、腕とかに絆創膏とか白い布とか巻いてくるようになったの。
大丈夫って聞いても、元気のない怖い声で「大丈夫」って返すの。
気がついたら遠くに離れて、氷をひたすら出してるの。
あんまり出し過ぎるとよくないよって言ったら、「うるさい」って怒ってきたのに。しばらくしたら「ごめんね」って泣きそうな顔で言う。
――――――この時に、私が気がつけば良かった。
焦凍くんが苦しんでいること。焦凍くんの中の黒い心がじわじわと視界を奪い去ろうとしていることに。
幼稚園がお休みのある日、久々に焦凍くんと遊ぼうと思ってお家に遊びに行った。
前までは、お家の戸を叩いて、遊ぼうって言ったらすぐに出て来てくれたのに。
最近は戸を叩いたって知らんぷり。冬美お姉ちゃんがごめんねって言ってそのまま扉は閉まっちゃうんだ。
ずっと遊べてないの。ずっと話せていないの。
怖い顔してばかり、きっと何かあったんだ。そういう時は
一緒にいてお話すれば軽くなるって先生が言ってたから。
「焦凍くん！大丈夫ー？
一緒にお話ししよー?」
扉を三回たたいて、焦凍くんに声を掛ける。
しばらくすると、扉が少しだけ開いて、白い布だらけの焦凍くんが顔を出した。
赤い部分を隠すみたいに巻かれたそれにびっくりした。
「焦凍くん…！どうしたの、その布…？」
「……。」
焦凍くんは何も答えてくれない。
このままじゃ何もわからないよ、教えて焦凍くん…！
「つらいなら、一緒に遊ぼう？
気持ちが変われば、すっきりするんだよ、『きぶんてんかん』っていうの！
ねぇ、なにす……」
「……だ。」
「なんて、焦凍くん？」
「いや…だ。もう、遊びたくない。」
帰って。
そう、一言伝えられたの。
……嫌われちゃった。
嫌なら、バイバイしなきゃいけないんだよね。
でも最後に伝えたいこと。全部話してからバイバイしよう。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 186人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ジャコ(プロフ) - ぬうさん» 返信遅れてごめんなさい！こちらこそありがとうございます！待ってくれている人がいると思うと頑張れます……！ (8月8日 14時) (
レス) id: 245b9733ce (このIDを非表示/違反報告)
ぬう(プロフ) - 公開ありがとうです() (8月4日 2時) (レス) id: 1d36f8c737 (このIDを非表示/違反報告)
ジャコ(プロフ) - 質問ありがとうございます。続編のパスワードは一時的につけているものです！そろそろ公開する予定なので、ご安心ください！ (2022年7月5日 17時) (レス) id: 4409a0c551 (このIDを非表示/違反報告)
みく(プロフ) - 質問失礼します！続編のパスワードについて公開してるけど鍵をしているのか全て終わった後まとめて公開などで鍵をしてるいるのか知りたいです！もし前者の場合教えてもらうことは可能でしょうか？更新頑張って下さい！応援してます！ (2022年7月5日 16時) (レス) @page50 id: ee1511a796 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ジャコ | 作成日時：2021年10月8日 18時
