井の中のかわず2 ページ19
目を開けると、そこには真っ白な空間が広がっていた。私の髪と同じくらいの白さを持つこの部屋は、何となく夢で作られたものだと察した。
体が動かせることに気がつき、何となくで前に進む。よく分からない感覚に従いながら、全ては"何となく"の赴くままに足を進めていた。
ようやく白以外のものが目に入り、それを凝視する。
そこには茶色の看板とそれを持ったテディベアが座っていた。
『僕の名前は*-***。だけれど冷たいの。』
謎の言葉に首を傾げる。名前の部分は赤い絵の具で塗りつぶしたようになっていて、視点を変えようとも見えることは無かった。しかし、途中にあったハイフンが私たちの管理番号と近しいものを感じて、声をかけてしまった。
「もしかして、あなたも被検体なの？」
人形に話しかけるなんて、普段の私が見ればとうとう脳にキャパがきたかというように考えるだろう。今日のE-0813と重ねてしまったとしても、さすがに人形相手に声掛けなんか恐らくしない。
それでも、少しずつ崩壊に近づきつつあるE-0813を救う手だてが少しでも欲しくて。藁にもすがる思いで、人形に声をかけてしまったんだろう。
声をかけてしばらくすると、ゆらりと看板の字が揺らぐ。赤い絵の具は急に液体となって地面にたらりと落ちていった。
『僕の名前はQ-0000。だけれど冷たいの。』
Q-0000。番号は必ず0001から振られるためこの子は研究とは無関係なのだと察した。そこで感じたのは、若干の軽蔑と安心。
「……なんだ、別に関係ないんだね。」
この研究とは。
その言葉が次に続くことは無かった。ただの人形のはずなのに、テディベアの目からは綺麗な雫が垂れていたのだ。
『さみしいの。つめたいの。僕の名前、呼んで。』
看板の文字は端的で拙いものへ変わる。涙を流す人形や感情を訴える看板だなんて、一体どんな深層心理だろうと考えながらも、その看板の指示に従った。
「Q-0000。はい、呼んだよ？」
『チガウ！違うよ！それは僕の名前じゃない！』
「えぇ……。じゃあ、名前教えてよ。」
『……忘れちゃった。』
呼んでと頼まれたから呼んだのに、違うと怒られる。どうすればいいのかと頭を抱えた時、ふと昨日の会話を思い出した。
そういえばE-0813も、名前を忘れたと言っていた。もしかしてこのテディベアもそうなのだろうか。
怒りを少しチラつかせながら話していた彼と重ねていれば、再び看板の文字が揺らぐ。
『じゃあ、ニックネームみたいなのでいいから！』
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ジャコ(プロフ) - ぬうさん» 返信遅れてごめんなさい！こちらこそありがとうございます！待ってくれている人がいると思うと頑張れます……！ (8月8日 14時) (
レス) id: 245b9733ce (このIDを非表示/違反報告)
ぬう(プロフ) - 公開ありがとうです() (8月4日 2時) (レス) id: 1d36f8c737 (このIDを非表示/違反報告)
ジャコ(プロフ) - 質問ありがとうございます。続編のパスワードは一時的につけているものです！そろそろ公開する予定なので、ご安心ください！ (2022年7月5日 17時) (レス) id: 4409a0c551 (このIDを非表示/違反報告)
みく(プロフ) - 質問失礼します！続編のパスワードについて公開してるけど鍵をしているのか全て終わった後まとめて公開などで鍵をしてるいるのか知りたいです！もし前者の場合教えてもらうことは可能でしょうか？更新頑張って下さい！応援してます！ (2022年7月5日 16時) (レス) @page50 id: ee1511a796 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ジャコ | 作成日時：2021年10月8日 18時
