冷たくなってしまった君へ ページ14
〘E-0813 side〙
一回目、マスターと管理者が女の子を連れてきた時。
白い髪がきれいな女の子だな。と思った。目は閉じていた。
二回目、女の子は目を覚ました。
マスターと管理者に連れられて最初の実験へ。
不思議そうにあたりを見回していた。
三回目、ボロボロになった女の子が帰ってきた。
牢に入れたマスターがくるりとこちらに向き、女の子について話し始めた。
女の子……もといS-0473はすごい子らしい。
四回目、目を覚ました女の子は周囲に問いかけていた。
「みんなの名前は？」
「早くここから出ないと。個性使えば出れるかな？」
当然、実験で疲弊しきった体を少しでも休めたいやつらは答えない。
万一、女の子の命が枯れればまずい。
「首輪、あるから出られないんだよ」と言えば
S-0473ははっとして首輪に触れた。
「君は…って、右腕…！切り傷だらけ…！
もしかして、例の実験で…！」
悲しそうな顔でこちらの傷を見つめるS-473。
Sランクという上位を関しているにもかかわらず、そこに低ランクというラベルへの同情はない。
しっかりと見つめあった瞳はきれいな赤色だった。
五回目以降、S-0473はむやみやたらに周囲に話しかけることはなくなった。この世界について理解して、最善の行動をとるようになった。
それでも、彼女のふとした時に傷を見ている行為は今でもある。瞳から読み取れるは、大丈夫？の一言。
そして、君は生きて。と口を動かして眠りにつくこと。
彼女は温度あふれる人だった。
だから。
実験を重ねるたびに、己の体を挺して力に貪欲になっていくS-0473が怖くなった。
少しの休息でも本の知識をため込み、実験では相手の命には配慮しつつ憎しみに汚れた目で狂ったように炎と踊っている。
そんな生き方をすれば、ほぼ毎日生きてと告げてくれた声が永遠に途切れてしまう。
だから、俺も彼女もそこまで疲れてない日を選んで理由を聞けば案の定。よく分からない過去にとらわれて、自らを死体に成り下がらせて。
ほんと、馬鹿な女の子が来たものだ。
綺麗で、優しくて、馬鹿な女の子。
君が来てから、今まで殺伐とした生か死かの二択しかない
この小さな牢に帰りたいと思った。
生きて、君の手が届かない遠くからの応援を聞きたくなった。この場合は、見るの方が正しいけれど。
ともかく。
彼女を【
俺に、そうしてくれたように。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 186人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ジャコ(プロフ) - ぬうさん» 返信遅れてごめんなさい！こちらこそありがとうございます！待ってくれている人がいると思うと頑張れます……！ (8月8日 14時) (
レス) id: 245b9733ce (このIDを非表示/違反報告)
ぬう(プロフ) - 公開ありがとうです() (8月4日 2時) (レス) id: 1d36f8c737 (このIDを非表示/違反報告)
ジャコ(プロフ) - 質問ありがとうございます。続編のパスワードは一時的につけているものです！そろそろ公開する予定なので、ご安心ください！ (2022年7月5日 17時) (レス) id: 4409a0c551 (このIDを非表示/違反報告)
みく(プロフ) - 質問失礼します！続編のパスワードについて公開してるけど鍵をしているのか全て終わった後まとめて公開などで鍵をしてるいるのか知りたいです！もし前者の場合教えてもらうことは可能でしょうか？更新頑張って下さい！応援してます！ (2022年7月5日 16時) (レス) @page50 id: ee1511a796 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ジャコ | 作成日時：2021年10月8日 18時
