螢石 (ページ3)

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俯いていた顔をあげれば愛しい人。の側にはやっぱりあの人が居る。

嗚呼もう泣きたいくらい。

『亮御早う！今日の収録ドッジやで、楽しみやなあ。』

コイツが居らんかったら多分俺の心はぼろぼろやったと思う。ってくらいコイツは優しい。

「うん御早う。あ、そうなんや。楽しみやな。」

にっこにこのコイツを見れば不思議と笑顔が零れる。

俺の気持ちに気付いてるんもコイツ。

あっちから聞こえるすばるくんへ向けてのラブコールも、聞かせんように誘導して、ずっと話してくれてる。

コイツ男前やねんな。

でも、章ちゃんがメイク行ってしもうたら現実に引き戻される。

『すばるう、愛してるよっ。』

ほらまた。まるがすばるくんを好きなことくらい皆わかってんねんから。

他でやってくれよ。

こんな気持ちにさせんといて。

此れを全部ぐちゃぐちゃに丸めて心の深い所に沈める。

収録中でさえイチャイチャしてて。

他の人も見てる。其くらい判れよ、って。言いたいのに。

俺はまるに嫌われたくない汚い奴やから。

そんな事も言えない。

収録中も愛想笑いで顔面筋肉痛。

章ちゃんや大倉、村上くん横山くん達が気遣って話回してくれてた。

このグループで良かった。

ずっと皆で居るためには、俺の気持ちは邪魔すぎる。

俺の気持ちは捨てないと。

誰かから貰った螢石がきゅ、って熱くなった気がした。